知識が邪魔をして「できない理由」が先に出てくる
一つの世界を極めている人に変化を要求した場合の典型的な反応が、嫌悪感からの思考停止です。
創造的に新しいやり方を考える以前に、なぜいまのやり方を変えるのが難しいかという「できない理由」を並べることはできても、実は、それがなぜそうなっているのかは説明できないのです。
では、なぜこのような「できない理由」が出てくるかといえば、それはひとえにその領域の知識が邪魔をするからです。最初に具体的な知識として挙げられるのが、規制や法律です。「現状に詳しい」とは言い換えれば、今その世界を支配しているルールや規則に詳しいということです。
「それは○○法で決まっている」とか「それは規則に反するからできない」といった制約条件は、現状の業務知識の代表例です(多くの資格試験では当該領域の法律について聞かれることからも、それは明らかでしょう)。
「それは前にやってできなかった」という過去の経緯も、邪魔をする知識の一つです(いまは環境が変わってできるようになっているかも知れないし、将来はできるようになるかも知れないのに)。
過去の経緯を知っているというのは、現状の延長のことを実行するには不可欠な情報ですが、ゼロベースで考える上では、邪魔になることはあっても、プラスになることはありません(もちろん実行に際しての阻害要因を考える段階では再び重要になります)。