株式上場の頃から
コンペ実施を徹底
前出の関係者によると、ポーラ・オルビスHDは少なくとも10年の株式上場の頃からゼネコン選びでコンペの実施を徹底するようになった。投資家への説明責任、公平性・透明性確保のためだ。
初めのうちはこれまでの関係性がある竹中工務店にコンペを勝ち抜くヒントを与えたこともあったというが、それでも竹中工務店はコンペを勝ち抜けず、「当時の竹中の営業担当者は飛ばされたらしい」と前出の関係者は言う。実際、最近の建築案件は清水建設、鹿島、東急建設などが受注している。
業種や個別企業によって、発注先の選定における縁の重み付けは異なる。
ただ総じて、施主が上場したり、企業規模が大きくなったりすると、オーナーや創業家の独断で発注先を決められない仕組みが採られ、競争入札を重視する傾向が強まる。
施主企業自身、時代の変化と市場での熾烈な競争の中で生き残らなければならない。しかるに、ゼネコンを「縁」だけで受け入れてはいられない。ただの腐れ縁であれば断ち切って、「技術」や「カネ」などでの優位性を求めて当然となる。
つまりは、自社にメリットをもたらす縁なのか、優れた技術が提供されるのか、価格競争力はあるのか、といったことをシビアに評価するわけだ。
関係性の変化はゼネコンにとって、お得意先が離れるピンチになる。と同時に、ライバルのお得意先を奪うチャンスにもなる。