30年で3000社の上場企業に対してコミュニケーションや英語をテーマにした研修を行ってきた安田正氏。その研修で使用しているプログラムを改良・応用して書き綴り、惜しげもなく公開したのが武器になる話し方だ。もったいない話し方のため、満足いく結果を得られなかったり、本来は得られるポジションにつけなかったり。本連載では、多くの方の話し方を改善してきた安田さんの「武器になる話し方」を、本書の内容から一部抜粋して紹介する。

「自分の話しを聞いてくれない人」も「この一言」で振り向いてくれるPhoto: Adobe Stock

他人ごとではスイッチが入らない

 そもそも1対1より人前で話すときのほうが難しいのは、明らかに「興味がない」「自分の話を聞いてくれない」人がいることがあるからです。

 人に伝えるときの考え方の原則として心得ていただきたいのは、「人は自分の置かれた状況からしか物事を考えられない」ということです。

 つまり、「自分の話じゃないな」と思った瞬間にスイッチがオフになってしまいます。

 では、自分ごとにしてもらうにはどうしたらいいかというと、一番手っ取り早いのはメリットがある話をすることです。

 そしてもう一つ覚えておいていただきたいのは、「自分とどんな関係があるのか」がわかると、聞く耳を持ってくれるようになるということです。

 一見関係ないと思うことかもしれませんが、実はあなたの人生に大きく関係しているんですよ、ということが伝わると、人は真剣に聞いてくれるようになります。

 そのために有効なテクニックとしては、「あなた」を主語にして事例をつくることです。

 たとえば、

・「〇〇さん(あなた)が、これからお店を始めるとしましょう」
・「みなさん(あなたたち)がもし外国人と英語で会話して、一緒に食事をしなく
てはならなくなったときには、何とか必死で伝えようとしますよね」

 といった具合です。

 このように事例を話す際に「あなた」を主語にして話すと、当事者意識が芽生え、一気に自分ごととして捉えることができるようになります。また、このように相手を主語にすると相手のメリットや尊重する気持ちが伝わりやすくもなります。

武器になる
話し方

真剣さには、「当事者意識のある・なし」が超重要。
まずはここに火をつける