90万部超のベストセラー『超一流の雑談力』著者安田正さんによる、新しい話し方の本『武器になる話し方』が12月8日に発売になりました。著者は、これまで30年以上、コミュニケーションや英語をテーマにした研修や講演を行ってきて、経営者を含む、何万人というビジネスパーソンとお付き合いをしてきました。
そうした中で強く感じるのは、なんともったいない話し方をしている人が多いのか! ということでした。本来ならもっと評価を受けていい人、もっとレベルの高い仕事ができるはずの人、よりたくさんの収入に恵まれるべきであるはずの人が、不当な扱いを受けたり、苦労を強いられたりしているということです。この連載では本書で紹介している『武器になる話し方』の方法、コツをご紹介していきます。
ふっかけてくる人を華麗にいなす
「マウンティング封じ」の技術
仕事に関連した雑談では、探り合いや自分の存在感を示すために自己アピールをする場面があるかもしれません。
話題を深めていくには、適度な自己開示や相手の情報を知ることも必要なのですが、それは、あくまでも「関係を良好にするため」という目的が大前提です。
このことを理解していないと、「どちらが立場が上か、あるいは能力が上か」ということを目的とした「マウンティング」によるプレッシャーのかけあいが起こることがあります。
マウンティングのトピックは多くの場合、
・過去の仕事の実績
・有名人や大物と会ったことがある
・高価なものを持っている、家に住んでいる
このようなところが主でしょう。
相手がマウンティングしてきたときには、付き合わないのが一番です。意地を張ると互いにヒートアップしてしまいますし、後味が悪くなってしまいます。
そこで、相手がマウンティングを仕掛けてきた際に、関係を悪くせずに、それを封じ込めるテクニックを紹介しましょう。
いったん受け止めて、話題を変えるのが鉄則
相手がマウンティングしてきたときには、「ほぉ」「へぇ」「すごい」と受け止めます。
そして、相手が誇っていることをそのまま認めてあげましょう。そして、「そういえば……」と、別の話題に移るのが得策です。
そもそもマウンティングとは、「明らかに格下」とわかる相手にはしてきません。「自分とどっちが上かな?」と微妙なときにしてきます。
ですから、「別にあなたが上でいいよ」という形で、そのほうが話がスムーズに進むのであれば、そのようにさせてあげましょう。
裁判やスポーツなどであれば勝ち負けにはこだわりたいですが、人間関係においてどっちが上か下かなんていうのは証明のしようなどありません。まったく本質的でない、どうでもいいことなのです。
張り合わなければ、相手も引き下がります。これが基本的な方法となります。
タチの悪い相手への対処法
しかし、相手があまりにも失礼な態度であったり、こちらをバカにしてくるような感じを受けた場合には、もう一つ方法があります。
それは、「圧倒的に格上の話」をさらっと会話に盛り込む方法です。
たとえば、「有名人を知っている」「有名人と仕事をしたことがある」としつこく自慢してくるのであれば、より知名度のある人物の名前を挙げて「そういえば、〇〇社長と一緒にゴルフをしたときに……」といった具合にエピソードを話します。
また、「営業で全国1位をとったことがある」と実績を言ってくるのであれば、「確かにナンバー1を取るより、ナンバー1を続けるほうが大変ですよね。実際自分のときも大変でした」というように、相手が「負けた……」と思わず認めてしまうようなことを、ストーリーの一部として会話の中に入れることです。
あくまでも「さらっと」伝えるのがポイントで、「私は……」という主語から話を始めないことです。それでは自慢返し、マウンティング返しになってしまいます。目的は「マウンティング封じ」なので、あくまでもさりげなく伝え、深層心理の中で「負けた」と思わせることが重要です。
とはいえ、この2つ目の方法はかなり攻撃的なやり方でもあり、相手のタチが悪かったときの最終手段として考え、基本的には使わないほうがよいでしょう。
仕事上どうしても付き合い続けなければいけない場合などには、1つ目の「認めてあげて別の話題に移る」で対応すれば十分でしょう。
そしてもちろん、自分からは自慢もマウンティングもしないことは鉄則ですね。
話し方
マウンティングには、付き合わず封じるのが一番。
認めてあげて、話題を変える