批判が集まった
非常用発電機の改修遅れ

 会見の第二のポイントは、長崎製作所で製造された非常用発電機の不具合改修の遅れだった。

 病院や高齢者施設でも使用され、停電時にスプリンクラーや排煙設備などを動かす電源だが、設計ミスなどから発電できない不具合が発生していた。三菱電機はなぜか不具合を公表して全数改修することは行わず、都度、個別に、時間のかかるやり方で対応していた。そのため、対策費用が一挙に計上されるのを避けたかったのではないか、との臆測を呼んだ。

 万が一の災害時には人命に関わる危険があった。問題を把握した調査委は、対応の再検討を求めた。結果、三菱電機は会見3日前の12月20日、ようやく不具合発生と全数改修を発表し、作業を一気に加速させた。

 メディアの論調も厳しかった。朝日新聞は12月21日付1面で「三菱電機製、重大な不具合 非常用発電機、1200台改修へ」とトップニュース扱い。読売新聞も「三菱電機の非常用発電設備、1200台に故障の恐れ…04年以降に把握も公表せず」と報じるなど、各社が大きく扱った。

 12月23日の会見で“リコール隠し”ではないかとの質問が出るのも無理はなかった。漆間社長は改修を都度進めてきたことを「明らかに間違った判断だった」と認めた上で、原因究明を調査委に委ねるとした。

 検査不正において三菱電機はこれまで、「安全に問題はない」という説明を繰り返していた。今回は、「顧客の安全軽視」との指摘に言い逃れができなかった。