部下に「なぜ?」と問うのをやめる

 フィードフォワード型の1on1では、「現状」との乖離が大きくなるほど、話の規模は大きくなっていくし、抽象度も高まっていく。場合によっては、こちら側の理解が追いつかないところまで相手の発想が飛躍していくこともあるかもしれない。

 ただし、メンバーからどんなに奇想天外な話題が出ても、絶対にそれを否定したりバカにしたりしてはいけない。むしろそれは、相手が心理的ホメオスタシスを抜け出そうとしているという意味で、いい兆候だととらえるべきだ。

 逆に、「10年後の自分はどうなっていると思いますか?」と部下に尋ねたときに、「そうですね。このまま順調にいけば、そのころには課長になっていると思います」というような答えが返ってくるようなら、その面談はうまくいっていないと考えるべきだろう。その部下は未来の話をしているようでいて、あくまでも「先輩社員たちがたどってきた過去のキャリアイメージ」のことしか考えられていないからだ。

 これと関連して言えるのが、リーダーは「WHY」を避けたほうがいいということだ。「なぜ?」という問いは、しばしば過去に起きたネガティブな出来事の原因や責任を問う際に用いられる。「なぜ達成できなかったのか?」「なぜ失敗したのか?」「なぜ事故が起きたのか?」といった具合だ。そのため、たとえリーダーの側にそうした意図がないとしても、「WHY」の問いは部下を緊張させてしまう。

 また、フィードフォワード型の面談の目的は、具体的な実現可能性や首尾一貫性を検証することではない。むしろ、実現したい未来に向けての臨場感を高めることである。その意味でも「なぜ?」「どうして?」と理由やロジックを追い求めすぎるのはおすすめできない。

 要するに、リーダーの言葉がゴール世界への没入を妨げるようなことがあってはならない。当人としては素朴な質問やちょっとした助言をしたつもりでも、それが相手の臨場感を著しく損なうことになってしまえば本末転倒だ。あなた自身が部下のドリームキラーになっていないか、たえず振り返るようにしよう。