本当の「マイホームの買い時」は、税制と関係なく判断しよう
消費税増税と住宅ローン減税拡充の両方を考え合わせると、「増税前と後ではどちらが買い時?」と迷ってしまうでしょう。では、「マイホームの買い時」はどのように判断すべきなのでしょうか?
重要なのは、実は税制ではありません。みなさんにとっての本当の買い時は、「お金が貯まって、家族構成がかたまったとき」です。
最近は頭金ゼロでも全額ローンを組むことができますが、借入額が多額になれば利息負担が増え、返済期間も長引きます。自己資金が貯まっていないのに「消費税増税前のほうがトク」と駆け込みで家を買っても、長期的にはマイナスになるおそれもありますから、これは避けるべきです。
また、自己資金の額だけでなく、「過去1年間でどれくらいお金を貯められたか」も重要です。「頭金はある」という人でも、ほとんどが贈与や相続で得たお金で、貯蓄の習慣がない場合があります。このような人が住宅ローンを組むと、計画通り返済しながら貯蓄をしていくことができず、家計が回らなくなるケースもあるのです。
家族構成は、どのような物件を選ぶかはもちろん、住宅ローンの返済計画にも大きく影響します。
最近は結婚と同時に買う人が増えていますが、子どもが生まれると、人数によっては部屋が足りなくなったり、働いているときにはいいけれど、子育てには向かない環境だったりと購入後に問題が発生する可能性があります。
子どもが生まれる前に「これくらいなら返せるから」と住宅ローンを組み、「子どもが生まれたら妻の産休、育休で世帯年収がダウンした」「子どもの成長に伴って教育費がかさみ、貯蓄ができなくなった」と悲鳴をあげる家庭も少なくありません。
30代シングルで「結婚しないかも」とマンション購入に踏み切ったものの、数年後に出会いがあって結婚し、マンションとローン返済の処置に困るケースも散見されます。
このように考えると、まずは貯蓄習慣をつけ、自己資金を増やし、40歳くらいでライフスタイルの見通しが立った頃が「マイホームの買い時」と言えます。家を買うタイミングは、外的要因ではなく、あくまで内的要因で判断すべきなのです。