モダン・ポートフォリオ・セオリーに対するバフェットの気持ちを完璧に表現した言葉だ。

バフェットが考える
4つのリクスとは?

 バフェットは、株価の下落を、避けるべきものではなく、追加の利益を得るためのチャンスだと考えている。彼の考えでは、企業の本質的価値を見極めたうえで、株価が下がればリスクは減少するのだ。

「事業のオーナー、つまり私たち株主が立つべきと考える立場で考えれば、学者のリスクの定義は完全に的外れであり、ばかばかしいと言えるほどだ」と述べている。

 バフェットによるリスクの定義は違う。彼にとってリスクとは、けがをする可能性があることだ。そして、それは事業の本質的価値に関係する要素であり、短期的な株価の動きではない。バフェットの考えでは、危害やけがは、投資先の将来の利益を決定する主要な要素を見誤ることで生じる。

 それらの要素をバフェットの言葉で整理するよい機会だ。

 第1に「事業の長期的な経済的特性を評価できる確実性」、第2に「事業の潜在能力を最大限に発揮させ、キャッシュフローを賢明に活用する能力の両方について、経営陣を評価できる確実性」、第3は「経営陣が事業からの報酬を自分ではなく株主に向けてくれると信頼できる確実性」、そして第4は「事業の購入価格」である。

 重要なのは、バフェットがリスクは投資家の時間軸と表裏一体であると説いていることである。

 明日売るつもりで今日株を買えば、それはリスクの高い取引をしたことになると説明する。短期間で株価が上がるか下がるかを予想して当たる確率は、コインをトスした結果を予想する確率と同じで、半分は負ける。しかし、時間軸を数年先まで延ばせば、株が危険な取引である可能性は大幅に減少すると言う。もちろん、最初の段階で賢明な買い物をすることが大前提だ。

 モダン・ポートフォリオ・セオリーのリスク、つまりベータ値の使い方についてせいぜい言えることは、「短期の投資家には適用できるが、長期の投資家には意味がない」という程度だ。

 モダン・ポートフォリオ・セオリーのリスクの定義は、株価が市場の価格のまわりをどれだけ飛び跳ねるかということで、自分の投資ポートフォリオを預金口座のように扱い、ポートフォリオの純資産価値が1ドルを下回るたびにたじろぐような人に関係があるものだ。