世間では、高齢になったら株式のようなリスク資産を減らし、債券や預金のような安全な資産の比率を増やした方がいいと言われている。しかし、今回はこの定説に待ったをかける。そして、親と子どもが協同して親の資産の運用を行う「2世代運用」をおすすめしたい。(経済評論家、楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)
バフェット氏とあなたの親は
どこが違うのか?
投資が話題になるたびに、名前が出ることが多い米国の著名投資家・ウォーレン・バフェット氏は現在91歳だが、現役の投資家だ。さて、仮に読者のご年齢が50歳くらいだとしよう。親御さんのご年齢は80歳前後になる場合が多いかと推察するが、親御さんの資産運用とバフェット氏の資産運用との間の「条件的な違い」は何だろうか。
運用金額や、知名度は違うとしても、運用内容を決めるに当たっての前提条件に本質的な違いはあるのだろうか。
バフェット氏は、世界一有名な投資の専門家であるし、幸い高齢になっても頭が冴えている。この点は親御さんと違うかもしれないが、頭が冴えていてもいなくても、同じ投資対象に投資しているなら同一期間に得られるリターン(収益率)はおおむね同じのはずだ。
バフェット氏は、バークシャー・ハサウェイという会社を経営しており、主にその資産を運用しているので、運用方針を急に変えるわけにはいかないのかもしれない。例えば、彼が「私は既に高齢なので、自分の会社の資産も預金や債券を中心に運用したい」と言い出したら、リターンが下がると株主は大騒ぎするのではないか。
一方、読者の親御さんは(かなり高齢であると想定している)、預金や債券のような、株式よりも価値が安定しているものの期待収益率が現在ほとんどゼロの資産で運用する必要があるのだろうか。