小麦粉高騰!値上げでも収益苦しく
経営トップは「しゃあない…」

 パンの主原料である小麦は21年、世界的に価格が高騰。日本政府も昨秋、輸入小麦の売り渡し価格を一挙に約2割も引き上げており、業務用小麦粉は一気に値上がりした。油脂や砂糖といった他の原料も同様に高騰している。

 これを受け神戸屋は21年11月、スーパーやコンビニなどに出荷する一部の製品について、最大約12%の大幅値上げを断行した(実施は22年1月)。小売り店舗の商品も同様に値上げしたのだが、こちらの事業は値上げだけでは終わらなかった。新型コロナウイルスの感染拡大による影響があったからだ。

 神戸屋の店舗はオフィス街やエキナカなどに多い。平時なら好立地だが、コロナ禍では逆に来店客の激減に直面した。売り上げの「蒸発」に、好立地がゆえの高額な賃料がのしかかり、小売り事業を営む子会社の20年12月期決算は最終赤字約6億円、債務超過だった。これにつられる形で、親会社の神戸屋本体も14億5000万円の最終赤字に追い込まれている。

 コロナショックに追い打ちした原材料高は、長期化しそうな気配だ。こうした状況の中、銀行団は昨秋ごろから神戸屋側に不採算店舗の閉鎖を迫ってきた。実は神戸屋の小売り事業はコロナ禍前から、損益的に芳しくなく、「神戸屋グループにとって“お荷物”事業」(ある金融機関関係者)だったことも大きかった。

 神戸屋は銀行団の意向に押し切られる形で、小売り事業の立て直しに向け、不採算店舗を次々と閉鎖させている。これまでにすでに25店舗を閉めており、今後は首都圏のエキナカ立地の店舗も閉鎖が検討されるようだ。

 神戸屋グループの桐山健一会長は小売り事業の縮小について、ダイヤモンド編集部の取材に対し「しゃあない(仕方がない)」とだけ述べて、足早に去った。