会議そのものは「1円」も生み出さない

 ただ、忘れてはならないことがあります。

 定例会議はチームにとって非常に重要なものですが、とはいえ、会議そのものは「1円」たりとも生み出さないということです。成果を生み出すのは、あくまでも現場の活動。生産性を上げるカギは、現場の活動の効率を上げるとともに、活動量を増やすことにあるのです。

 むしろ、会議とはコストそのものです。会議時間中のメンバー全員の人件費はもちろん、会議のための資料づくり、会議のための会議など、つい忘れてしまいがちなコストもかかっています。ですから、最小限のコストで、最高品質の会議を行うことを決して忘れてはならないのです。

 まず、意識すべきなのが「会議時間」です。

 日本では、「会議は1時間」というのが一般的な認識として定着しているように思いますが、「なぜ1時間かける必要があるのか?」と改めて考えてみると、明確な答えがないことに気づきます。かつては私自身もそうでしたが、「以前からそうだから」「きりがいいから」「なんとなく」などといったあやふやな理由で、「1時間会議」を続けているのが実態ではないでしょうか?

 しかし、これが「会議の品質」を落とす大きな原因となっています。

「1時間あるから」という理由で、定例会議で扱う必要のない重要度の低い案件を議題にあげたり、メールで共有すれば済むような連絡事項の伝達に時間を費やしてしまう。果てには、「まだ時間が残っているから」とダラダラした議論(雑談)を続けてしまうこともあるでしょう。

 そうした雑談が100%意味がないというつもりはありません。特に、リモート環境下では、メンバーの多くが孤立感を抱えていることが多いですから、メンタルマネジメントの観点から雑談の機会をもつことには、むしろ意味があるということもできます。

 ただ、私は、そのような機会は定例会議以外に設定すべきだと考えます。なぜなら、チームにとって最も重要な「場」である定例会議に緊張感が失われる結果、意思決定の質が低下することになりかねないからです。定例会議は、ほどよい緊張感を維持しながら、全員が集中する「場」でなければならないのです。

「15分×2=30分」で、
集中力の高い会議をつくりだす

 そこで私は、定例会議は「30分」を基本としていました。

 そもそも、人間の集中力には限界があります。

 大学の授業が90分に設定されているように、集中力が持続する時間は90分が限界と言われていますが、90分間ずっと集中できるわけではありません。集中力の波は15分周期だと言われているのです。つまり、人間の集中力を維持するためには、「15分」をワンブロックとして考える必要があるということです。

 実際、テレビ番組も10~15分程度でCMを入れる構成になっています。テレビ局としては、ビジネス的な観点から、CMを流さなければならないという理由もあると思いますが、一方で、CMで休憩は挟むことで視聴者の集中力を維持するという理由もあると思われます。

 そこで、私は「15分×2=30分」という形で、定例会議をデザインすることにしました。「30分」の会議を前半後半の2ブロックに分けて、前半の15分間を情報共有、伝達など、メンバーに必要な情報を「インプット」するために使い、後半15分間を意思決定という「アウトプット」を生み出すために使うのです。

 前半の「インプット」は、貴重な時間を使ってでも口頭で伝えるべき重要な案件だけに絞る(それ以外の案件はメールで共有すれば足ります)など、できる限り簡素化する工夫をして、最短で終えられるように心がけます。