メタバースは「ドラえもんの四次元ポケット」!何でも飛び出す期待と脅威Photo:123RF

「メタ・プラットフォームズ」に社名を変えた旧フェイスブックが、有力ゲームメーカーを多額の資金でM&Aの対象とするなど、世界の有力企業がメタバース分野の取り組みを急速に強化している。米マイクロソフトは687億ドル(約7.9兆円)を投じてゲームソフト会社アクティビジョン・ブリザード(アクティビジョン)を、ソニーグループは米バンジーを36億ドル(約4100億円)で買収する。突き詰めて言えば、「こんなことができたらいい」という人々の根源的な欲求や夢を実現することが、メタバースだ。メタバースは「ほんやくコンニャク」や「どこでもドア」などが飛び出す「ドラえもんの四次元ポケット」に例えることができる。(法政大学大学院教授 真壁昭夫)

ゲーム業界ではメタバース時代を見据えて
かつてない規模で再編が進んでいる

 メタバース(超越空間)に対する社会の関心が、大きく高まっている。今回は、メタバースの発展性と経済に対するインパクトについて考えてみたい。「メタ・プラットフォームズ」に社名を変えた旧フェイスブックが、有力ゲームメーカーを多額の資金でM&Aの対象とするなど、世界の有力企業がメタバース分野の取り組みを急速に強化している。

 拡張現実(AR)や仮想現実(VR)を用いて構築されたメタバースで、人々はアバター(自分の分身)として活動する。接触によるウイルス感染のリスクなどを気にする必要はない。メタバースによって、新しくより自由な発想が一気に具現化するだろう。それは世界経済に対する強烈なインパクトを持っている。

 特に目に付くのは、ゲーム業界ではメタバース時代を見据えて、かつてない規模で再編が進んでいることだ。

 米マイクロソフトは687億ドル(約7.9兆円)を投じてゲームソフト会社アクティビジョン・ブリザード(アクティビジョン)を、ソニーグループは米バンジーを36億ドル(約4100億円)で買収する。

 主な目的はソフトウエア開発力の向上と、ユーザー獲得とみられる。今後、ハードのゲーム機需要は減少し、さまざまなデバイスを通してアバターがゲームに参加する状況が想定される。これから、ゲームはゲーム機やスマホで楽しむという常識は大きく変わるだろう。

 メタバース時代の競争を有利に進めるために、新しい半導体やデバイスの開発競争も激化する。デジタル化の遅れが深刻なわが国企業は、早急にメタバースに対応する事業戦略を立案し、実行に移すことが求められる。