メタバースの本当の姿とは?
オンラインとオフラインの境目がなくなる

 メタバースの実現により、わたしたちは、24時間365日、いつでも、どこでも、現実を超越した空間に接続できる。

 例えば、運動のために散歩をしながらメタバース内のオフィスで同僚と会議をしたり、工場の製造ラインのメンテナンスを行ったりすることが当たり前になるだろう。

 メタバースはIoTなど世界経済のデジタル化をさらに加速させる。メタバースがもたらす「生き方の変化」に対応できるか否かが、企業の長期存続に決定的な影響を与えるはずだ。

 メタバースによって、私たちのコミュニケーションは根本から変わる。インターネットがない時代、私たちは他者と、対面や電信技術によって情報を交換した。それをもとに企業は付加価値を生み出したり、事業運営の効率性を高めたりしてきた。

 それが1990年代に米国でインターネット革命が起きて以降、私たちは必要に応じてデバイスを起動し、ネットに接続するようになった。それは、個人や企業などの経済運営の効率性を一段と高めた。

 メタバースとネット社会の違いは、現実世界(リアル)における生活と同時に、超越空間でも人々が活動することだ。オンラインとオフラインの境目がなくなるといってもよいだろう。常に多くの人と共有される空間であるため、メタバースではリアルで味わったことのない臨場感や刺激、満足感、驚きなど、新しい発想や価値観がより多く得られると期待される。

 リアルで手に入れるのが難しい情報でも、メタバースでは比較的容易に手に入る可能性もある。例えば、東京のオフィスで仕事をしつつ、必要な情報はメタバースで多様なバックグラウンドを持つ人から収集する。それは業務の効率性を向上させる。参加者も限定されない。個人をベースに現実と超越空間がリアルタイムでつながり、相互に影響しあうのがメタバースだ。