メタバースが持つすさまじい発展性とは?
「非代替性トークン」(NFT)にも注目

 メタバースの発展性の一つとして注目されるのが、アバターだ。メタバースの中で私たちは、アバターとして活動する。つまり、アバターの活動範囲の拡大が、メタバースを成長させる。

 例えば、アバターとして、アクティビジョンが手掛ける「コールオブデューティ」などのゲームに参加すると、リアルでは味わえない体験を得ることができる。それがメタバース・ユーザーを増加させ、新しいサービスや製品の需要を生み出す。そうした状況が、近い将来の経済成長に不可欠となるだろう。

 ところで、メタバースの利用増加によって、デジタル資産の管理問題が浮上している。現実社会で私たちは土地や自動車などを所有したり、シェアしたりしている。誰が、何を所有し、利用権を持つかは明確に管理されている。

 メタバースでも同じだ。メタバース内での空間の所有や利用の権利、アバターの所有権、デジタルアートの識別とその所有権などは、確実に管理されなければならない。

 その手段として「非代替性トークン」(NFT)がある。NFTの一元管理のためには、「分散型元帳」もとい「ブロックチェーン」の運営技術の向上が欠かせない。メタバースにおけるデジタル資産の価値基準や交換手段、価値の保存のために、価値が安定しているNFTなどへのニーズも高まるだろう。

 このように考えると、メタバース時代の到来によって、ハードからソフトへのシフトが加速する。マイクロソフトがアクティビジョンを買収するのはそのためだ。ゲームコンテンツ創出などソフトウエア開発が加速し、その結果としてより気軽に、より鮮烈な体験を得られるデバイス創出ニーズが高まる。

 ゲームのコンテンツ(ソフト)はクラウドコンピューティングで管理し、多種多様なデバイスを用いてユーザーがアクセスするようになるだろう。特定のゲーム機を利用する必要性は低下する。そうした展開を見据えて、マイクロソフトなどが企業買収によってゲームユーザーを囲い込み、メタバース開発競争を有利に進めようとしている。