新築マンション市場が、投資・転売・節税目的の購入者層で沸いています。一方、東京23区の新築マンション平均価格が8000万円超と高騰するなか、平均給与433万円の一般層には、到底買えない状況が続いています。いびつなマーケットにおいて、2022年以降の住まい選びはどうすればいいのか? そこで編集部では、『マイホームは価値ある中古マンションを買いなさい!』(ダイヤモンド社)の著者でマンショントレンド評論家の日下部理絵さんと、近著『ここまで変わる!家の買い方 街の選び方』(祥伝社新書)が話題の不動産プロデュース業を展開する牧野知弘さんのお2人に、賢いマイホーム選びをテーマに対談していただきました(対談実施日:2021年12月23日)。第6回をお届けします。バックナンバーはこちらからどうぞ(構成/北野啓太郎)。
相続税対策のマンション購入に罠が…
牧野知弘(以下、牧野) 日本の不動産マーケットを、投資・転売目的以外で支え続けている大きなポイントは節税です。日本の富裕層は高齢者がほとんどで、そうした富裕高齢層が相続税対策としてマンションやアパートを購入しています。思いっきりレバレッジをかけて、借入金で相続税の評価額をマイナスにして相続税はゼロ、などと指南する本も沢山ありますよね。
節税目的の方はこれから先も大勢いるので、この層が買いの需要を支えるでしょう。ただ、今後はここに大きな問題が起きるのではないかと考えています。
日下部理絵(以下、日下部) どういった問題ですか?
牧野 相続人に相続されたあとも借金は残っているので、それをきちんと返済するだけの運用ができるかどうかです。資産価値が保たれてエグジット(出口)で借入金が返せるということが大前提なので、このシナリオが崩れると、次の世代で借金が返せず破綻してしまうのです。