わが子にピッタリ!塾・予備校&家庭教師・オンライン教材選び#4Photo by H MIYAHARA

首都圏における中学受験塾の覇者、SAPIX(サピックス)――。御三家など難関中学を目指す子ども御用達の塾であり、目下、小学1年生からの入塾さえ困難なほど人気を博す。なぜサピックスは競争が激しい中学受験塾で天下を取れたのか。特集『わが子にもピッタリ!塾・予備校&家庭教師・オンライン教材選び』(全22回)の#4では、その秘密とノウハウを明かす(元サピックス小学部教室責任者 粟根秀史)。

模試の作成現場では
厳しいダメ出しが常

 今から二十数年前のこと。筆者はSAPIX小学部の算数科講師として、複数の校舎で最上位クラスのαコースや開成・桜蔭コースの授業を受け持っていた。無論、最難関校対策の指導には自信がある。特に開成中、桜蔭中の出題傾向は熟知しているつもりだった。しかし、あるとき、「学校別サピックスオープン」(公開模試)の作問メンバーの一人となり、鼻をへし折られることとなる。

 SAPIXでは作問した場合、先輩講師たちからの厳しいチェックが入る。自分では力作であると思って提出しても、「これで良し」とはなかなかならない。何度も作り直しである。受けたダメ出しを幾つか紹介しよう。

「問題文の切り口が開成らしくない」「誘導が適切ではない。これでは生徒が解いていて楽しいと思えないし、力を付けることもできない」「この問題は、類題が○○塾の過去の学校別模試に出題されていたからボツ!」……。

 それにしても、他塾の模試にまで目を通しているとは。筆者はそれまでの自分の職人気取りを恥じた。「生徒には最高のものを提供する」という講師陣の気概。執念ともいえる最高へのこだわりは、当然テキスト作成にも反映されていた。

 それから20年以上かけてさらに研究を重ね、時代に合わせて進化したものが、現在のSAPIXの教材だ。特に5年生算数のテキストは、一昨年に大幅改訂された。

 ここからは、そのテキストの具体的な中身に加え、クラスの特徴や常勤・非常勤・学生講師の質といった、表からは見えにくいSAPIXのシステムの裏側を解説しよう。