どんな時代でも生き残れる不動産投資家になるための極意とは何か? 不動産投資で利益をあげ続けるため、生き残れる投資家になるために必要なクリエイティングアルファ(新しい価値をつくる)という斬新な視点が学べると好評のハーバード式不動産投資術』(上田真路著、ダイヤモンド社)。不動産投資のクリエイティングアルファの秘訣を探る対談記事の第6回。対談ゲストは、一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンス 代表理事の木下斉さん。地域再生事業家として、これまで数多くの地域活性化プロジェクトにかかわってきた木下さん。今回は、ローカルの持つ多様性を活かした不動産コンテンツづくりのポイントとはなにか? 不動産投資を始めたいと思っている人、すでに始めている人、地域活性に不動産メカニズムをつかってかかわりたい人、さらに上を目指したい人必読。好評連載のバックナンバーはこちらからどうぞ。

不動産的にどうレバレッジをかけるか? ローカルの持つ多様性がコンテンツの強みになるPhoto: Adobe Stock

九州のグランピングサイト事業が人気

木下斉(以下、木下) 僕たちは昨年から、グランピングサイト事業を始めています。地元でマリーナとかイルカウォッチングツアーなんかをやっているシークルーズという会社と組んで、熊本の上天草でグランピングしたい人をサイトで集客するビジネスです。熊本県内の人はもちろん福岡など他県からも、お金を持っている人たちが来てくれるのですが、まさしく、前回の話で出た店子が具体的にイメージできるという案件そのものです。去年からコロナの影響なのか、船でクルージングしたいという需要が爆発的に増えています。ということは、クルージング後に泊まれるアウトドアのような場所も需要があるのではないかということで、国立公園指定エリアのところで余っていた土地を借りてやってみたら、すごくうまく回っています。

上田真路(以下、上田) すごいですね。九州はいろんな旅行の楽しみ方の幅が広いですよね。長崎のジャパネットたかたがMSCという世界的なクルーザー会社と提携して、クルージングも提供していますしね。クルージング自体が宿泊体験であり、ひとつの浮かんで動く「まち」ですからね。世界的な規模のクルーザーとなると一つの船で2000-4000人もの客数ですし、すごいインパクトです。

木下 車なら週末一時間半とか二時間ぐらい移動するって、そんなに大変じゃないというか、当たり前に移動しちゃうので。九州とかは結構意外と小さいので、かなり広範囲から来てくれています。自治体の人たちって、「人口減でもう何万人、何千人しかいないんですよ」とよく言うんですけど、それはあまり関係ないんですよね。ちょっと見方を変えればすごく可能性はいろいろある。だから数字を最初に叩いてみるというのが、やっぱり大事なんです。グランピングサイトも数字を叩いてやると、やっぱりこれはなかなかいいですねって話になるんです(笑)。

上田 その笑顔になっちゃう感じは、数字を叩いたときにCreating αがある!と発見できるんですよね。とてもよくわかります(笑)。

木下 莫大な建築費がかからないので。

上田 そうですよね。申請関係業務も軽いですしね。

木下 簡易的なコテージとドーム型テントのセットで100平米以上占有できるのでおすすめです。僕はアウトドアが嫌いなのでキャンプは行きたくない。本当はホテルがいいんだけど、でも、たまにはアウトドア感のあるところにも行きたいよねっていう人が結構多いんです。そういう人を「半ドア派」って呼んでいるんですけど(笑)。

上田 なるほど(笑)。

木下 お風呂も欲しいし、トイレも欲しいし、でも共同はちょっと嫌だよねというのを盛り込んでやったら、やっぱりそういう客層はすごく多くて。それはシークルーズを取り扱っているお客さんのイメージから来てるんですよね。イルカウォッチングも、地元で一番高い値段でツアーをやっている会社なんで、いいお客さんが来るというのがもう見えているんです。

上田 客層がしっかりと捉えられているからこそ、期待に対する対価もしっかりとチャージすることができますね。

木下 ホテルとか建てないので初期投資がすごく圧縮できて、利回りが非常に高い。ただスケールする業態ではないですけど。国立公園指定エリアの限られた土地を活用して、すぐにできるほうがいいよねってやってみたら、やっぱり非常によかったですね。地方はまだまだそういう可能性が山ほどあると思います。