富山県でサウナをメインコンテンツに据えた
ホテル事業を準備

不動産的にどうレバレッジをかけるか? ローカルの持つ多様性がコンテンツの強みになる上田真路(うえた・まさみち)
建築家・不動産投資家
KUROFUNE Design Holdings Inc. 代表取締役CEO
ハーバード大学デザイン大学院で不動産投資と建築デザインを学び、投資理論とデザインの力を融合させたユニークな不動産投資を行う。現在5棟の超優良物件を保有。早稲田大学理工学部建築学科、同大学院卒業後に鹿島建設入社。同社では鹿島建設社長賞、グッドデザイン賞、SDレビュー賞などを受賞。2016年、ハーバード大学デザイン大学院(GSD)へフルブライト留学。GSD不動産デザイン学科を卒業後、KUROFUNE Design Holdings Inc.(デザイン事務所兼不動産ファンド会社)を創業し独立。現在は住まいと学びを融合させた国際学生寮「U Share」を開発運営。慶應義塾大学、早稲田大学で「不動産デザイン」について教えている。初の著書に『ハーバード式不動産投資術 資産26倍を可能にする世界最高峰のノウハウ』(ダイヤモンド社)がある。

上田 実は、今の事例と似てるものを富山県の立山でやっています。地元の製薬会社の前田薬品工業さん主導のもと、ヘルジアンウッドという村を一緒に作っています。これなんかまさに高価格帯にどんどんもっていこうとしています。街全体のマスタープランニングの監修を建築家の隈研吾さんに担当してもらっています。山形のスイデンテラスとも協定を結ぶなどして、地方の美しい村づくりの旗振り役を目指しています。

木下 いいですね。

上田 富山地元の名士、桝田酒造さんというところがモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンと組んで、IWAという酒蔵を近くに作ったんです。ハイプライスでちゃんと街のヴィジョン構築、村のブランディングができてきました。今作っているのが「The Hive」というサウナホテル+オートキャンプ場で、本当に目的型の施設ですけども、村全体でワーケーションでの活用も進めています。The Hiveは今ちょうど建設中で5月頃にはオープンをして、貸切サウナから雄大な立山連峰を望み、ハーブの香りで整っていただきながら、チームビルディングをしてもらう、そんな施設になります。

木下 面白そうですね。

上田 こういうものもちゃんと数字を叩いて、そこのサウナホテルにどれくらいの投資をしていくのかを算出しています。ただサウナホテルって、サウナという心臓部分があれば、あとは、まわりにほぼゼロ円で整備したオートキャンプ場などから収益が上がるという面白い経済循環も生まれます。なので、この村を最初にやろうという人たちが、どういうふうに客層をターゲディングして、マーケティングして、ハイプライスにもっていくか。そこから数字が叩けるのであれば、では、どういった投資が適正なのかということがわかる、面白い事例です。

木下 いいですね。僕も今月石川県の七尾に行くんですけど、七尾湾に面している絶好の場所でヴィラ・デラ・パーチェというオーベルジュを運営している平田さんというシェフがいます。もともとは海の家の廃墟だったそうですが、そこを再利用する形で始められています。ちゃんと数字を叩いて、自分のスタイルでお店をやっていくということを思考する人が、ローカルにもどんどん出てきています。最近は、都会から離れて地方へ行く料理人が多いですね。すごくクリエイティブな仕事だから、自分の料理をベースにお客さんを呼んでくる自信があるというのが、ローカルにとってはすごく新しい原動力になっていると思います。ローカルのほうが多様性を担保できる要素が多いので、そこはすごく不動産的にもレバレッジをかけやすいポイント、コンテンツとしての強みになるんじゃないかと思います。

上田 そうですね。やっぱりコンテンツを押えることができれば、その箱を作る大家さんもいろんな手の打ち方があるじゃないですか。なので、チームづくりが結構大事だなと思います。箱を持つ方とコンテンツを作れる方が別のことが従来の大家業で、都会では成り立ってましたが、地方に行けばいくほど、建物とコンテンツ一体型が面白くなってきてますね。

木下 そうですね。