特色あるローカルな立地で店をやりたい人は、多い

不動産的にどうレバレッジをかけるか? ローカルの持つ多様性がコンテンツの強みになる木下斉(きのした・ひとし)
地域再生事業家
1982年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。一橋大学大学院商学研究科修士課程修了、修士(経営学)。国内外の事業による地域活性化を目指す企業・団体を束ねた一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンス代表理事、一般社団法人公民連携事業機構理事を務めるほか、各地で自身も出資、共同経営する熊本城東マネジメント株式会社代表取締役、サッポロ・ピン・ポイント株式会社代表取締役、勝川エリア・アセット・マネジメント取締役なども務める。高校在学中に早稲田商店会の活動に参画したのを発端に全国商店街共同出資会社・商店街ネットワーク取締役社長に就任。その後現在に至るまで事業開発だけでなく地方政策に関する提言も活発に続けている。主な著書に『地方創生大全』(東洋経済新報社)、『地元がヤバい…と思ったら読む 凡人のための地域再生入門』(ダイヤモンド社)、『街づくり幻想 地域再生はなぜこれほど失敗するのか』(SB新書)などがある。

上田 そのコンテンツ提供者さんを連れてくるときに、一緒に箱からつくるという発想があれば、強力な店子さんを連れてくることができるということですよね。

木下 今自分たちがやっているプロジェクトでも、そこはちょっと伸ばしていこうと思うとこですね。ローカルで店をやりたい人がすごく増えていて、そこで先駆的にやっている人のところには、もうちょっと下のジェネレーションの人たちで、ゆくゆくはそういう業態をやりたいという人が多いです。2000~2010年代にヨーロッパとかの有名レストランでスーシェフなどを経験して帰ってきた人とかであればあるほど、特色ある立地で店をやりたいという人が多いです。銀座の一等地に店を出したいという人はあまり若い人にはいないです。そうじゃない人が結構増えているのは、我々のようなローカルなプロジェクトをやっている人間にはすごい追い風です。

上田 そうですね。実際にヘルジアンウッドのレストラン(北陸ミシュラン1つ星)では、海外、東京の有名ジャパニーズフレンチでスーシェフをしていた方が、たまたま富山出身だったこともあり、来てくれました。

木下 そういう人たちとネットワークを組んで、さっきみたいなローカルでの仕掛けを作っていくことができると、次にまた可能性が出てくる。この間も、山口県の長門湯本というところのまちづくり会社の設立をサポートしていたので、そこなんかも結構いい感じで数字が回ってきています。次はどういうお店を入れていこうかということで、大阪のバーで修行していた人がバーを開いてくれたり、マイクロブリューワリーを始める店子さんが出てきています。それで、次はやっぱり目的地となるようなレストランが一軒街に出てくれれば、連泊需要にも繋がるから、そこだよねみたいな話をしています。昔は無理だったけど、今ならできるということがたくさん地方でのオプションとして増えてるように思います。

上田 そうですね。特に飲食業界の横のそういった方々のつながりって、非常に強いですよね。情報交換も結構していますし。

木下 強いですね。どこでやるのがいいかなって、みんな探しているんです。やっぱり北陸は食材が人気というか、あとは新幹線も開通しているので、首都圏の顧客層をダイレクトに狙えるみたいなところもあって、熱心に探してる人が多いみたいですね。いいロールモデルも何人もいるというのも大きいと思います。