「珍無類(ちんむるい)」とは、他に例のないくらい非常に珍しいことの意味

 そこで、新庄監督を例えた三字熟語は、

「珍無類(ちんむるい)」

 他に例のないくらい非常に珍しいことの意味で、もちろん、最上の褒め言葉として選びました。「珍」には、もっともすぐれたものや貴重なという意味があり、「無類」は他に比べるものがないほどにすぐれていることをいいます。

 ちなみに、この「珍無類」、宮沢賢治が、『ビジテリアン大祭』という作品で使っています。世界中のベジタリアンやヴィーガンなどが集まって、菜食主義について討論し合う物語です。

〔引用〕―「(前略)こいつは面白い。実に名論だ。文章も実に珍無類だ。実に面白い。」トルコの地学博士はその肥った顔を、まるで張り裂けるようにして笑いました。(宮沢賢治『ビジテリアン大祭』)より

 宮沢賢治は一時期、ベジタリアンだったとか。今でこそ知られたベジタリアンですが、1920年代は進歩的な考えだったようです。ベジタリアンという生き方も、当時はかなり斬新で「珍無類」だと考えられていたかもしれません。

 今年は久しぶりに球場に行こう! と決めました。

新庄剛志監督にぴったりの「三字熟語」とは?<br />破天荒でも風雲児でもなく…

西角けい子(にしかど・けいこ)
ステージメソッド塾代表/学習コンサルタント/三字熟語研究家
オムロンを退職後、日本有数の大手塾の激戦区である兵庫県西宮北口にステージメソッド塾を開業。
国語力を急伸させる独自の「ニシカド式勉強法」により、わずか6ヵ月でごく普通の成績だった7名の塾生を日本一(全国版学力テスト)に育て、多くのマスコミから取材される。「お母さんの言葉がけ」と、「暗記力」「ノート力」「作文力」アップを重視した「ニシカド式勉強法」は定評があり、倍率10倍以上の超難関公立中高一貫校に、14年連続地域No.1の合格者を出している。片道3時間以上かけて通う小学生や新幹線や飛行機で通塾する中学生もおり、塾周辺に転居してくる家庭も多い。
ひょんなことから、国語の世界で影が薄い「三字熟語」のおもしろさに気づき、軽やかで、庶民的で、思わずクスッと笑ってしまう三字熟語にハマる。三字熟語ラブな思いが高じて、三字熟語クイズを作り始めた。夏目漱石や太宰治などの文豪が使う「三字熟語」の巧みな表現にしびれ、文豪の人間味や生き方に興味を抱き、文豪の出生地巡りや墓参りをしながら、「三字熟語」の探究を続けている。