神棚と神社に奉納した引き綱も飾る神棚と神社に奉納した引き綱も飾る Photo by Yohko Yamamoto

米水人神、
出羽三山の地酒を追求!

 聖徳太子によって東北へ逃れた蜂子皇子が開山した山形県の出羽三山。日本三大修験道の一つで、江戸時代には伊勢参りと並ぶ参拝者を誇った。

 鶴岡市羽黒町で1858年に創業した酒蔵の竹の露は、1923年に出羽三山神社のお神酒を醸した蔵を移築。「神様の蔵付き酵母が作用した酒」と、竹の露で生まれ育った相沢こづえさんは語る。

 夫の政男さんが代表社員と製造責任者を務め、6代目に。

 出羽三山神社との縁は今も深く、2年に1度、お神酒の醸造を担い、仕込み時には宮司が蔵を訪れ、杜氏の本木勝美さんは浄衣で酒造りを行う。

 こづえさんの父、金野松弘さんが酒米栽培研究会を推進し、2003年から全量が羽黒町産米になった。1タンクを1農家1品種で仕込み、個性もトレーサビリティも明確だ。

「鶴岡市の酒蔵は共同精米所を持ち、1%単位の調整が可能。狙い通りの酒に」と政男さん。

 糖分を切らし、うま味をきれいに仕上げる技に長け、県が開発した酒米の出羽燦々と雪女神で醸した酒が、全国新酒鑑評会で5年連続金賞を受賞するなど高評価。

 酒蔵の危機もあった。月山ダムの竣工により仕込み水の赤川伏流水の水質が落ち、02年に意を決して井戸を掘った。掘り進めるたびに水質調査し、深度330mまで到達。その水は月山の雪解け水でシリカを豊富に含む超軟水、酒質が向上した。

 羽黒町産の米、蔵から湧き出る月山の水、地元の蔵人、出羽三山神社の地の酒故に「米水人神100%地護酒」がうたい文句だ。

大吟醸 白露垂珠 雪女神33大吟醸 白露垂珠 雪女神33
●竹の露・山形県鶴岡市羽黒町猪俣新田字田屋前133●代表銘柄:大吟醸 白露垂珠 出羽燦々39、純米大吟醸 白露垂珠 改良信交44●杜氏:本木勝美●主要な米の品種:出羽燦々、雪女神、美山錦、改良信交