2022年の年度末商戦で、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクなど通信大手の販売代理店の店頭で「1円iPhone」が復活した。その値下げ幅は10万円に近づいている。端末の値引き上限は2万円(税込み2万2000円)に制限されているが、またも「抜け穴」が露呈した格好だ。再びiPhoneが1円で買える時代が訪れたのか。(ダイヤモンド編集部 村井令二)
3月登場のiPhoneSE3
発売当日に「一括1円」も!
「iPhone一括1円」
2022年3月下旬の東京都内の大手家電量販店。NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクなど通信大手の販売代理店の店頭で、「1円で買えるiPhone」が復活していた。
目立っていたのは、3月18日に発売されたばかりのiPhoneSE(第3世代)が発売初日から「一括1円」で売られていたことだ。ソフトバンクでの定価は7万4880円なので、7万円を超える異常な値引きである。
値引き幅が最も大きいとみられたのが、20年秋に発売されたiPhone12だ。ドコモでの定価は9万5876円なので、実に9万5000円以上の値引きである。
19年10月施行の改正電気通信事業法では、通信契約の獲得を狙った端末の割引は2万円(税込み価格で2万2000円)までと制限されたはずだ。
それにもかかわらず、異常な値引きが横行しているのはなぜなのか。その背景にはまたもや「規制の抜け穴」があった。次ページでは、そのカラクリを解説するとともに通信業界にはびこる旧弊を明らかにする。