根本的に治療する「舌下免疫療法」
早ければ来シーズンから公的保険対象に

 スギ花粉症はいまや日本人の2割が発症している国民病だ。患者は体の免疫機構が花粉に過剰に反応し、くしゃみや鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどの症状が現れる。治療法としては抗ヒスタミン薬などの飲み薬で症状を一時的に抑えている患者が多い。

 対して、アレルゲン免疫療法は唯一といってもいい花粉症の根本的治療である。

 舌下免疫療法で治療した場合、「治療を受けた患者の7~8割は症状が軽くなる」と大久保教授。このうちの「1割は症状がなくなる」という。これは根治するということだ。

 5割は症状が半分くらいに軽くなり、ピークの1週間だけ薬を飲んだり、症状が出たときだけ服用できる。岸本さんはこの5割に当てはまった。

 あと2割は症状が軽くなり、残り2割は治療前と変わらない。症状が変わらない2割はアレルギーよりも過敏症など別の原因が考えられる。

 アレルゲン免疫療法で注射剤は公的保険の対象になっている。しかし、普及はしていない。アナフィラキシーショックなど副作用が懸念されたり、注射による痛み、通院の手間などが嫌がられてきたからだ。

 製薬企業の鳥居薬品は国内で唯一、アレルゲンエキスを販売している。診断薬を含め141品目を扱いながら、アレルゲン製品の年間売上高は10億円以下。いかにも市場は小さかった。

 舌下免疫療法は注射剤のネックをすべて取り除いたものだ。副作用の心配はほとんどなく、注射の苦痛はない。自宅で投与ができる。

 一方でネックは公的保険の対象外であることだ。その場合は自由診療になるため、患者は全額を自己負担しなければならない。医療機関によって異なるが、相場は年間(1シーズン)5万~6万円くらいだ。

 しかし、朗報がある。鳥居薬品が公的保険対象を目指した舌下免疫療法のエキス剤を開発し、12年12月に製造販売承認を申請した。早ければ14年の花粉シーズンには自己負担が3割で済む公的保険で舌下免疫療法を受けられるようになる。