43パーセントの習慣
次に実施した調査では、アラームが鳴ったときにとっている行動と考えていることをひとつずつあげるのではなく、そのときにやっていることと考えていることをすべて書きとめてもらった。たとえば、「電話で話しながらコンピューターで作業をし、音楽を聴いていた」という具合だ。
より細かく報告してもらったところ、習慣とみられる行動の割合は35パーセントより若干高くなり、43パーセントとなった。習慣を日常的な体験としてとらえた調査はこれが初めてだったので、私たちチームには正確な結果を出したいとの思いがあった。
調査対象である大学生は、講義の日程でがんじがらめにされている。その環境のせいで、人為的に習慣的なパターンが生まれてしまうのではないか。そういう不安があったので、幅広い年齢層を対象にもう一度調査を行うことにした。そうすれば、習慣が生活サイクルによるところがあるかどうかがはっきりする。
この最終調査のために、私たちは地元のジムへ出向いてフィットネスプログラムに参加している人々に声をかけた。そして、17~79歳の人々の協力をとりつけた。調査の手順はまったく同じで、全員にノートと1時間ごとにアラームが鳴るように設定した腕時計を渡し、2日間の記録をとってもらった。さまざまな年齢の人を調べたが、結果は何も変わらなかった。
また、性格の違いについても調べたが、性格は習慣に影響していなかった。とはいえ、新たな発見もいくつかあった。フルタイムで働いている人は、そうでない人に比べて生活の規則正しさの面でわずかに上回り、習慣で行う行動の割合が多かった。長時間働くと、同じ状況での繰り返しが増えるということだ。
一方、2人以上で暮らしている人、それも子どもがいる人はとくに、習慣の数がわずかに少なかった。どうやら他者がいると、人は行動に融通を利かせるらしい。これは当然だろう。生活のなかに他者がいれば、混沌の度合いは単純に増幅する。病気になる、昇進する、休暇をとって出かける、散らかすなど、他者は総じてあなたのルーティンを壊すことをする。
とはいうものの、ライフスタイルが異なる人々を統計に含めても、習慣に支配された行動をとる割合は43パーセント強で、大学生だけを対象とした調査と基本的に変わらなかった。
【本記事は『やり抜く自分に変わる超習慣力 悪習を断ち切り、良い習慣を身につける科学的メソッド』(ウェンディ・ウッド著、花塚恵訳)を抜粋、編集して掲載しています】