面倒くさいところはプロに任せて、
おいしいところだけをいただく

 資産の管理というのは、銘柄を選定するだけではありません。

 選んだ後にも、その会社が投資対象にふさわしいかどうかを常にチェック、さらに全体的な比率のバランスまでしっかりチェックしてくれるということです。

 たとえば、ある特定の資産が増えた場合に、それを売却して減っている資産を購入するといったリバランス(下図)まで、専門家がきっちり行ってくれる、これが「資産の管理」です。

 個人が、世界中のさまざまな資産に分散投資をして、さらに買った後も常に動向を見ていたり、管理したりするのは非常に面倒で手間がかかるので、仕事をしながら、というわけにはいきません。その部分を、投信運用会社に代行してもらうのです。

 しかも、自分で個別銘柄を発掘し、投資するためのお金の配分比率を決めるといった手間からも解放されます。つまり、最初にしくみ化してしまえば「ほったらかし」でいいのです。

 もちろん、なかには資産運用について考えたり調べたりするのが好きで、すべて自分で決めて投資をしたいという方もいらっしゃると思います。そういう方は、自分で銘柄を選んだり、資金の配分比率を決めたりして、自分だけの分散投資パッケージを作っていけばいいでしょう。

 でも、おそらく多くの人は昼間の仕事で疲れているのに、夜、家に帰ってからのプライベートタイムや休日の時間を、資産運用のために費やしたくはないと思っていらっしゃるのではないでしょうか。

 それに資産運用は実は面倒くさいものなのです。

 だからこそ、面倒くさいものはプロに任せて、おいしいところだけを取ればいいというのが、本書の基本的な主張でもあります。

 さらに、最近では「つみたてNISA」や「iDeCo」をはじめとして、政府が資産形成を後押しするための非課税制度を整えてきました。今こそ、長期投資を見据えた、投資信託の積み立てを始めるチャンスなのです。

中野晴啓(なかの・はるひろ)
セゾン投信代表取締役会長CEO
一般社団法人投資信託協会副会長、公益財団法人セゾン文化財団理事
1987年明治大学商学部卒業、クレディセゾン入社。2006年セゾン投信を設立。2020年6月より現職。
つみたてで、コツコツと資産をふやす長期投資を提言、国際分散型投資信託2本を15年以上運用し、
個人の長期資産形成を支えている。客観的な定量評価を行う複数のファンドアワードで連続受賞。
口座開設数16万人、預かり資産4700億円を突破。
主な著書に『最新版 投資信託はこの9本から選びなさい』『投資信託はこうして買いなさい』他多数。