コールドコールはうんざり
コールドコール2.0は多くのステップから成る仕組みだが、ある1つのことがブレイクスルーとなって、そこから雪だるま式に発展した。
セールスフォース・ドットコムで仕事を始めた当初、私はコールドコールによって(つまり手当たり次第に電話をかけて)顧客を探していた。効果はわずかで、うんざりするほど時間がかかった。コールドコールで獲得できる良質の案件は月に2件が限度だった。
わざわざ「良質」と断ったのは、当時、見込み客開拓の担当者が、無理気味でもデモや面談のアポイントを取り付けてクローザーにパスする件数を増やし、自分の成績としていることが多かったからだ。先に進む可能性がある件数はそのうちの一部だった。
そのころ、私の目標は月に最低8件の筋の良い商談案件をつくることだった。どんなに頑張っても2件が上限なのに、どうすればそれを4倍に増やせるというのか?
だれと話せばよいかわからずにかける電話
偉い人が複数いる企業に食い込むのが難しいのは、意思決定者やインフルエンサー、キーパーソンと話すのが難しいからではない――それがだれなのか、わからないからである。
すべての最終責任はCEOにあるとしても、いきなりCEOと話せるわけではない。かといって、大きな会社では肩書に「営業」とか「マーケティング」という言葉が入っている人がたくさんいるので、だれが何をしているのか外からはわからない。
私はそのことを、コールドコールやコールドメールを繰り返す中で嫌というほど学んだ。自分の時間の大半を、だれが相手なのかを探ることに費やしていたのだ。
適切な相手を見つけることさえできれば、それなりに生産的な商談を始めることができたが、フォーチュン5000社のような複雑な企業では、そういう人を見つけるまでにとんでもない時間がかかった。