マスに受け入れられるという「優れたやり方」も欠かせない
平尾:でも「別のやり方」ができる人は少ないですよね。Winner takes allのモデルに攻めていける会社が少ないので、その経験がある小泉さんは、究極のレア人材ですよね。
小泉:レアかもしれないとは思う。それは自分的にはわかっているつもり。
平尾:ヒットメーカーでもあるし。でも、1回で終わってしまう人もいます。毎回うまくいかせるには、どういう思考法で考えているんですか。マスの気持ちを理解するとか、最先端に行き過ぎないとか、思考のエッセンスは教えていただきましたけど、どうやったら世の中のど真ん中を歩けるんですか。
小泉:意識しているのは、日常の自分は一般ではないということ。港区とか渋谷区はレアだという感覚。そっち側が大衆ではない。
平尾:ミクシィを掘り当てたときの感覚が知りたいですね。当時、普通の人が見たら「SNSか」と通り過ぎてしまう人が多かったはずです。メルカリのときも、どこを見ていらっしゃったんですか。
小泉:創業メンバーの魅力もあるけど、大事なことはそれが1000万人、2000万人の人たちのニーズを満たせそうであり、それが社会のインフラになったら社会が間違いなくよくなり、個がエンパワーされることがイメージできることかな。
平尾:戦略は小泉さんがお持ちになっていますもんね。こうやって上場しましょうという提案をされているので、未来予測ができている。
小泉:僕は山梨の出身なので、都会でビジネスをしている人ではなく、地方の一般的な人たちが意識せずに使っているイメージを持てるかが大事だと思っている。あとは、ミクシィのときはガラケーで大きく変わると思ったし、メルカリのときはスマホで変わると思ったので、デバイスの変化は見ているね。これで大きく変わると思えるかどうか。
平尾:ユーザー目線ですよね。何人がこれを使うのかという極大値を見るという話。
小泉:そう。
平尾:それはどういうところに想像力を働かせるんですか。
小泉:感覚で捉えているかな。そういう意味では普通のミーハーな一般人だよ(笑)。そういう人が、ちょっとビジネスが詳しく、ちょっとインターネットに詳しい。そういう感じだと思うな。
平尾:プロデュース能力が高いんですね。「小泉さんがミクシィ辞めたぞ、行け」みたいな雰囲気があった。でも全部受ける時間もないから、社外取締役を引き受けるところも選ばれたと思うんですね。
小泉:いや、実際はそんなに選んでいないんだよ。
平尾:本当ですか。
小泉:ちゃんとお誘いをいただいたところをお引き受けしていたら、ほとんどそれが上場したというだけ。
平尾:発掘されたわけではないんですか?
小泉:ないない。それこそ「小泉さん暇でしょうからやってください」とか(笑)。そんな感じだったよ。
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