ペットのストレス、飼い主の手間、
診察の効率化を解決するDX
――DXも動物病院のシステムを大きく変える要素になっているかと思います。具体的にどのようなDXが動物病院で導入、もしくは今後導入されるだろうと考えていますか。
生田目 飼い主の利便性向上や診療の効率化を実現するDXは、これからの動物病院に不可欠な要素です。導入が進んでいるものとしては、「診察のオンライン予約システム」があります。
プリモ動物病院を経営するJPRグループでは、会計待ちをなくすオンライン決済システムの開発にも関わっています。DXでより便利に、時間のロスをなくすことで、飼い主やペットが動物病院にアクセスしやすくなる効果があります。
診療のDXでは、やはり電子カルテ、オンライン診療の実現が急がれますね。オンライン診療はまだ導入基準の議論がされている段階ですが、数年のうちに確実に実現していくはずです。
例えば、定期的に動物病院に通院して経過観察や薬を処方してもらうペットの場合、わざわざ動物病院に行かなくても、オンラインでペットの様子を診たり、飼い主と話すことで十分対応できるケースがあるはずです。
多くのペットが動物病院に行くことをストレスに感じていますし、飼い主の通院の負担も少なくありません。さらに獣医師にとっては、診察の効率化というメリットがあります。ペット、飼い主、そして獣医師にとって、オンライン診療は「三方よし」の方法といえるでしょう。
今後、このようなDXはさまざまな形で動物病院のシステムにどんどん取り入れられていくはずです。とはいえ、今の段階ではDXに積極的な異業種参入業者や大手事業者、消極的な個人経営の動物病院に二分しています。
小規模な個人経営の動物病院にとっては、DXへの投資コストや心理的なハードルが大きな課題となっているんです。しかしながら、DXの波は時代の必然です。できない理由を並べるよりも、できる方法を探す姿勢が、これから生き残るには必要となります。