『賢明なる個人投資家への道』の著者・かぶ1000は、株式投資歴30年以上の専業投資家。中2のころから体育のジャージ姿で地元の証券会社に通い詰め、中高年の投資家にかわいがられ、バブル紳士にはお金儲けのイロハを教えてもらった。中3で300万円、高1で1000万円、高2で1500万円へと株式資産を増やし、会計系の専門学校卒業後、証券会社の就職の誘いを断って専業投資家の道へ。2011年に“億り人”になると、2015年に3億円、2019年に4億円を突破! アルバイト経験さえない根っからの専業投資家が、お金の知識と増やし方を徹底指南する!
セクター別に
どう投資先を検討するか?
コロナ禍の業績では、同じセクター内でも明暗を分けました。典型例が、外食産業です。
蔓延防止のために外出自粛が求められ、時短営業や休業を要請されるようになり、外食産業は大打撃を被りました。それでも、テイクアウト需要をうまくとり込んだ日本マクドナルドホールディングス(2702)や、ケンタッキーフライドチキンの日本KFCホールディングス(9873)は、最高益を叩き出す好調ぶりです。
これと対照的に大きく落ち込んだのが、ワタミ(7522)などの居酒屋や、すかいらーくホールディングス(3197)などのファミレスで、大幅な赤字決算となりました。
このように同じセクター内で業績にはっきりとした差が出ている場合、それを契機に業界内での淘汰が一気に進む可能性があります。
今後、居酒屋やファミレスといった業態が完全にゼロになることはないでしょうが、どの企業が生き残って成長するかを見極めるのは難しいため、私には見極めることができなかったこともあり、こうした業界への投資は控えました。
一方、外食産業とは異なり、コロナ禍の影響を受けて同じセクター内で軒並み赤字を出した業界もあります。代表的なのが、鉄道業界です。不要不急の外出自粛、都道府県をまたぐ往来自粛、テレワークの推奨などで人流が抑制されたため、鉄道会社は過去にないレベルの売上高の減少に見舞われました。
どの企業も赤字転落となり、先行き不透明の苦しい経営環境に置かれたのです。
このように同一セクター内の企業が軒並み赤字という状態は、ずっと続くわけではないと私は考えています。もしこのまま赤字が継続するならば、究極的にはそのセクター内の企業がすべて倒産する恐れがないともいえません。しかし、重要な社会的インフラを担う鉄道業界が、この世の中から消えてなくなることはないでしょう。
地方で赤字路線を廃止しようとすると、地域住民から「路線を残してほしい」という要望が出るくらい、鉄道は必要不可欠な存在です。
そうなると、鉄道業界で最初にどこの企業が復活するかという予測を立てて、そこへの投資を考えてみるのも一手です。
個人的に、鉄道業界で最初に復活してくるのは、JR東海(東海旅客鉄道/9022)だと思っています。日本の大動脈ともいえる東海道新幹線という極めて重要な資産を持っているのと、東海道新幹線から上がる利益は業界トップの利益率を誇るからです。
その次に復活すると考えているのは、JR東日本(東日本旅客鉄道/9020)です。首都圏をくまなくネットする鉄道網と新幹線に加えて、東京駅などの多くの優良な不動産を持ち、キャッシュレス事業で唯一黒字化しているとされるSuica事業も手掛けているからです。
このようにある程度予測が立てやすく、倒産するリスクも限定される場合において、株価が大きく下落したときは、絶好の投資チャンスになると私は考えています。