お互いの美意識が共鳴し合わなければ、
コラボレーションにはならない
これは音楽で言えば「セッション」です。お互いにリスペクトしながら協働するからこそ、一人では生み出せない音が、相乗効果から生まれるのです。
「セッション」になるかどうか。これはビジネスにおいても大切な視点です。お互いの美意識が共鳴し合わなければ、セッション(コラボレーション)にはなりません。
その意味では、いくら報酬が高くても、自分たちの美意識に合わないことはやらないという判断が大事です。相手がいかに大企業であっても、有名デザイナーであっても、自分たちにリスペクトを持ってくれない仕事はやらない。それが細尾の一つのルールです。
以前に、レクサスへの西陣織の実車搭載のエピソードに触れました。このレクサスとのコラボレーションでも、その姿勢を貫きました。
通常、車の内装に使われる生地は、メートルあたり数百円程度です。しかし西陣織で作るとなると、その金額では一部の素材を調達することすらできません。もしかすると、宣伝効果のために多少の損を出してでも、と考える人もいるのかもしれません。
しかし、私は価格面での譲歩をするつもりはまったくありませんでした。