とはいえ、子どもたちにとって「勉強する」ということは、できるだけ避けたいアクティビティであるのが一般的。勉強していても、ちょっと漫画を読んでみたり、部屋の掃除を始めてみたりと、ついつい欲求に負けて逃げてしまう。ただ、これをクリアすることで、スポーツへの好影響があると聞いたら、勉強の見方が少し変わるかもしれない。欲求を抑えて、自分ができることに全力になるのは、松井秀喜氏が取り入れている思考法だ。

 松井氏はメジャーリーグで活躍したレジェンドであるが、大舞台に強かったことで知られている。なぜ、それほど活躍できるのか。松井氏は自分でコントロールできることにしか意識を持たないからだ。

 つまり、「ホームランを打ちたい」「試合に勝ちたい」「MVPを獲得したい」というのは、自分でコントロールできないもの。最高の準備をしてプレイすることのみに集中するのだ。勉強をしているときに感じる欲求は、MVPを獲得したい欲求に近いと伴氏は言う。

スポーツ後には勉強がはかどる
ゴールデンタイムがある

スポーツ後に勉強がはかどる脳の仕組み、子どもを伸ばす「目標設定」とは

「サボることに意識を飛ばさずに、自分のやるべきことに集中することで、意識の配分ができるようになります。これができると、スポーツ時にも非常に役立ちます。つまり、スポーツは脳機能を向上させ、勉強は集中力を向上させる相互関係があるのです。

 ただ、これを上から押し付けてもいけません。子どもたちにとっては“特権”と理解してもらうといいです。スポーツ後には勉強がはかどるゴールデンタイムがあって、『運動したお陰でメリットあるよ』と伝えるんです。この“特権”を知ることで、『いま使った方がいいんじゃないの』と能動的になるんです」