「Neutral」以上であれば、投資対象として問題ない
モーニングスターでは、過去の運用実績をもとにした定量評価と、運用プロセスなどの定性評価を行っています。
定量評価はあくまで「過去」の実績なので、将来の運用がどうなるかは定量評価だけでは判断できません。
将来を見通すには、運用会社の運用プロセス、運用成績、運用・調査体制、会社の管理体制やコンプライアンスの整備状況、コスト競争力の有無などを調査する定性評価も必要なのです。
これは野球選手にたとえてみるとわかりやすいかもしれません。これまで毎年打率3割だった選手は定量評価では非常に優秀ですし、今後も期待できそうに思えます。
しかし、今後も3割打てるかどうかを予測するには、選手の基礎的な能力や健康状態なども調べる必要があるでしょう。将来性を検討するには、定性評価が欠かせないわけです。
モーニングスターでは定量評価を「★」の数で表しており、★の数が多いほど評価が高いことを示しています。
アメリカのモーニングスターが行っている定性評価は、【下図表】の3項目を評価し、コストなども含め総合的に判断して「Gold」「Silver」「Bronze」「Neutral」「Negative」などの評価を付与します。
なお、定性評価は個別に運用会社を調査する必要があるためすべてのファンドを対象にしているわけではありません。定性評価がついているものについては、「Neutral」以上であれば、投資対象として問題ないと考えて構いません。
モーニングスター株式会社 代表取締役社長
1966年生まれ。1989年慶應義塾大学文学部卒。銀行、証券会社にて資産運用助言業務に従事した後、95年米国イリノイ大学経営学修士号取得(MBA)。同年、ソフトバンク株式会社財務部にて資金調達・資金運用全般、子会社の設立、および上場準備を担当。98年モーニングスター株式会社設立に参画し、2004年より現職。第三者投信評価機関の代表として、常に中立的・客観的な投資情報の提供を行い、個人投資家の的確な資産形成に努める。
主な著書に、『改訂新版 ETFはこの7本を買いなさい』『全面改訂 投資信託選びでいちばん知りたいこと』『つみたてNISAはこの7本を買いなさい』『一生モノのファイナンス入門』(以上、ダイヤモンド社)、『iDeCoで自分年金をつくる』(祥伝社新書)、『お金の未来年表』(SB新書)などがある。