「仕事がおもしろくない」「上司にうんざり」「もう会社を辞めたい!」
そんな思いが少しでもあるなら参考にしたいのが、92歳にして、現役総務課長としてバリバリ働いている玉置泰子さんの著書
『92歳 総務課長の教え』だ。
ベストセラー作家・本田健氏も絶賛する泰子さんの教えは、新入社員からベテラン社員まで即役立つ、説得力あふれる教訓と箴言が満載だ。
「世界最高齢の総務部員」として、ギネス世界記録に認定された泰子さんが、長く幸せに働く63の秘訣を手とり足とり教えてくれる。

※本稿は、『92歳 総務課長の教え』より一部を抜粋・編集したものです。

【92歳の現役総務課長が教える】<br />「チームとして頼りになる社員、ならない社員」の本質的な差鳴田小夜子(KOGUMA OFFICE)

個人プレーとチームプレーの両方を意識する

私は、まわりが見えなくなるほど、仕事に没頭して夢中になることが多いです。複数の案件を抱えているときでも、重要度や緊急度に応じて優先順位の高いものから、一つひとつ着実に仕事をこなすのが基本です。そのためには、どれだけ目の前の仕事に集中できるかがカギとなります。

緊急手術中のER(緊急救命室)の外科医や、陶磁器や着物の絵つけのような伝統工芸を担う職人さんのように、呼吸も忘れるくらい目の前のことだけに全集中しないとこなせない仕事もあるでしょう。外科医や職人さんのように、個人プレーが大きなウェイトを占めている仕事なら、半径1メートル以内のことに没頭するべきでしょう。企業でも、SE(システムエンジニア)が新たなシステムを立ち上げるような仕事をしている最中は、外からの刺激を完全にシャットアウトして没頭することが求められるかもしれません。

集中しながらも「周辺視」をあわせ持つ

ただし、私たちの仕事には個人プレーだけでなく、チームプレーもあります。一人ひとりは違う業務を行っているとしても、最終的なアウトプットはチーム全体の成果として出てきます。チーム全体としてクオリティの高い仕事をするのがゴールなのですから、全集中しながらも、まわりとの連携も大切にしなければなりません。

アスリートに大切なスポーツビジョン(視覚的な能力)に、「周辺視」と呼ばれるものがあります。これは目の前の目標に集中しつつも、広い視野で周辺にも目配りする能力です。バスケットボール選手やサッカー選手は、ボールや目前の相手選手を見つつも、コートやフィールド全体にも「周辺視」で視線を走らせながら、パスやシュートのチャンスを探っています。

自主性を奪わず、声がけする

同じように会社員も自分の仕事に集中しつつも、「周辺視」で職場全体にも目配りするバランスが大切です。不慣れな新人なら、自分の仕事で手いっぱいでしょうから、ほかに気を配る心のゆとりはないでしょう。けれど、ベテランになってくると、目先の仕事に注意を払いながらでも、周囲の仕事ぶりに意識を向けるくらいの余裕は出てきます。とくに後輩たちの仕事には、先輩・上司として目配りしなくてはなりません。

仕事を発注した立場であれば、なおさらです。途中で口を挟みすぎるのは、自主性を奪うのでもよくありませんが、仮に「ほうれんそう」が滞りがちで心配になるようなら、「何も問題ないかな?」「相談があったら、いつでも声をかけてね」などと、さり気なく声がけしてあげましょう。

※本稿は、『92歳 総務課長の教え』より一部を抜粋・編集したものです。