壁を超えたら人生で一番幸せな20年が待っていると説く『80歳の壁』が話題になっている今、ぜひ参考にしたいのが、元会社員で『島耕作』シリーズや『黄昏流星群』など数々のヒット作で悲喜こもごもの人生模様を描いてきた漫画家・弘兼憲史氏の著書『死ぬまで上機嫌。』(ダイヤモンド社)だ。弘兼氏のさまざまな経験・知見をもとに、死ぬまで上機嫌に人生を謳歌するコツを説いている。現役世代も、いずれ訪れる70代、80代を見据えて生きることは有益だ。コロナ禍で「いつ死んでもおかしくない」という状況を目の当たりにして、どのように「今を生きる」かは、世代を問わず、誰にとっても大事な課題なのだ。人生には悩みもあれば、不満もあるが、それでも人生を楽しむには“考え方のコツ”が要る。『死ぬまで上機嫌。』には、そのヒントが満載だ。
※本稿は、『死ぬまで上機嫌。』より一部を抜粋・編集したものです。
一歩踏み出してみればクセになるかも
僕は大学卒業後、松下電器産業(現パナソニック)に3年間勤務した後、会社を辞めて漫画家の道を歩んできました。ところが、実はプロの料理人になろうと思ったこともあるくらいの料理好きでもあります。今も事務所スタッフにまかない料理を作ったり、友人や知人が集まってワイワイやるときも料理を振る舞ったりします。
食材の買い出しも自分でします。買い物をするときから何を作ろうかと頭を働かせます。料理は「段取り」そのものですから、脳トレにも通じるのです。料理をしない人には、「料理は面倒くさくて難しそう」という先入観があるかもしれません。しかし、何も難しく考える必要はありません。
最初から気負わなくても大丈夫です。カレー作りなんて、やってみれば簡単ですから、ぜひ作ってみてください。慣れない人はジャガイモやニンジンの皮をむくのが、面倒に感じられるかもしれませんが、ピーラー(皮むき器)を使えば、あっという間です。むしろ、クセになるおもしろさがあります。ジャガイモ、ニンジン、タマネギを適当な大きさにザク切りして、水とともに鍋で煮込んでカレールーを割って入れれば、それで完成です。
最初はインスタントの袋麺でもOK
カレー作りに高いハードルを感じるのであれば、先ほどもいったようにインスタントの袋麺でよしとしましょう。誰しも、インスタントラーメンくらいは作った経験があるはずです。麺を鍋で茹でて、粉末のスープを入れるだけ。まあ、それではあまりに無味乾燥ですから、せめて野菜を一緒に煮てみましょう。最初は長ネギを刻む程度でも構いませんし、スーパーで買ってきたカット野菜を投入するだけでもいいです。
できあがったら、いつもの食卓用のコショーをかけるのも美味しいのですが、ミルでガリガリ挽くブラックペッパーに代えてみると、味と風味がグレードアップします。慣れてきたら、今度は野菜炒めにでもチャレンジしましょう。これも簡単です。フライパンにちょっと油を引き、豚肉を炒めてカット野菜を投入すればいいのです。
野菜炒めは火力が命、火力が弱いと野菜から水が出てベショベショになり、町中華で食べているような美味しい野菜炒めにはなりません。火力が弱くても、最後に味の素の「Cook Do」みたいな合わせ調味料を投入して、混ぜればなんとかなります(笑)。あとは、基本の「ご飯」と「味噌汁」を押さえておけば、もう大丈夫。
ご飯と味噌汁さえあればなんとかなる
市販されているお米には、米ぬかがほとんど残っていないので、「研ぐ」というより軽く3~4回「ゆすぐ」くらいで問題ありません。あとは炊飯器の内釜のメモリにある分量の水を注いでセットするだけ。それなりにいいお米を使えば、炊飯器のスイッチを押すだけで間違いなく美味しいご飯ができあがります。
味噌汁の作り方も簡単です。ネギでも大根でも自分の好きな野菜、あるいは豆腐や乾燥わかめなどの具材を水とともに鍋に入れてガス火で熱すれば、出汁入り味噌を適量入れて難なく完成です。味噌汁の具材には無限の組み合わせがありますから、自分好みの具材を追究していく楽しさもあります。さらに、きちんと出汁を取れるようになったら、文句なしです。
奥さんが外出しても、味噌汁とご飯があれば、ひとまず腹は満たせますね(笑)。例えば、奥さんが友だちと喫茶店や買い物などに出かけて帰ってきたとき、味噌汁とご飯、それにちょっとしたおかずを用意できるようになれば、たいへん喜ばれるでしょう。人に喜んでもらいたいと思うと、料理の腕は確実に上達するものです。ぜひ一度、試してみてください。
※本稿は、『死ぬまで上機嫌。』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。