「商業施設や働く場、住宅がモザイクのように渾然一体とし、さらにそれらがコンパクトにまとまりのある街なら、通勤に時間をかけることもありません。買い物にもすぐ行けます。みんな時間に余裕が生まれるから、商店街だって流行るかもしれない。結果的に地方都市が元気を取り戻す、というわけです。

 さらに、みんなが車に乗るのを控え、自転車や徒歩で移動するようになれば、中心街はさらに活気づくでしょうね。商店街が流行っていたころは、そこに多くの商人や職人などが暮らし、まさに商業・労働・住居が隣接していたんです。そうした古き街の優れた点を、改めて見直すことが必要では」(藤波さん)

 そして、「もう1つの方法は、『人口流出のダム』を築くことです」と藤波さん。今までは街から中核都市へ、中核都市から地方の大都市へ、さらに東京へ――と、職を求めてどんどん人が流出していくのがお決まりのパターンだった。だが、それぞれの地方都市に産業の“核”を据え、人口を集める仕組みを作れれば、人口流出を食い止めることができる。

 そのためには、今のような支店経済にすがっていてはダメ。東京よりさらに魅力ある、独自な産業を創出しなくてはならない。言ってみれば、「支店」ではなく、自分たちの「城」を築くことが必要だ。要するに、中国や東南アジアにはまねできないような、自分たちならではのものづくりを工夫することだ、と藤波さんは話す。

 過疎化が進んだ村がなくなってしまうことを「村納め」と呼ぶ。このまま、地方の人口減少が進めば、そのうち自治体が機能できなくなって「町納め」するところも出てくるかもしれない。

 今、自民政権は「国土強靭化計画」を掲げ、200兆円もの予算をかけて全国の道路や橋を立派にしようとしている。でも、一時的な公共事業に頼るだけでは、地方の人口流出に歯止めをかけることはできないんじゃないだろうか。

参考文献:
地方都市再生論 ~暮らし続けるために』(藤波匠・著/日本経済新聞出版社)