消えゆく業界という概念

 1つ目は、業界という概念がなくなってきていることです。

 プロフェッショナル1.0の時代には業界ごとに最適化して、良い物を安く、早く、顧客に届けることが重要でした。それに対して、プロフェッショナル2.0の時代には、業界を超えた変革をすることが求められています。

 バブル期の時価総額の世界ランキング上位10社は、日本企業が大半を占めていました。日本企業がそのランキングから消えて久しいですが、この10年ほどで上位10社には大きな変化がありました。

 下図では世界時価総額ランキングを2010年末と2021年末で比較しています。10年前はエクソンモービルやペトロチャイナ(中国石油集団)などの石油会社やICBC(中国工商銀行)やチャイナ・コンストラクション・バンク(中国建設銀行)などの金融機関が上位を占めていました。

 一方、現在はGAFAM(グーグル:アルファベット、アップル、フェイスブック:メタ・プラットフォームズ、アマゾン、マイクロソフト)や中国のテンセントなどの業界横断型のプラットフォームが上位を独占しています。

 また、インドや東南アジアなどの新興国でも、業界横断型のプラットフォームが飛躍的な進化を遂げています。東南アジアではゴジェックというスタートアップが、バイクタクシーの配車アプリから発展して生活に必要な多くのサービスを統合したスーパーアプリを提供し、2021年にはEコマース大手のトコペディアとの統合により、さらなる快進撃を展開しています。

 また、東南アジアにはゴジェックのほかにも、グラブやシーといったスーパーアプリが存在します。このようなプラットフォームの台頭により、これまでの縦割りの業界という概念は、なくなりつつあります