大事な試合の前に技術や戦術のことを考えすぎて、頭でっかちになってしまうことがあります。技術や戦術のことを考えることも大事ですが、相手や状況に左右されない自分にとって、大切な意識や身体感覚や信念・セルフイメージといったものをしっかり握り直しておいた方がよいこともあります。技術や戦術のことも大切ですが、自分にとってよい状態を生み出すために、状況に合わせてしなやかに対応できるバランス感覚が重要ですね。

コーチングで
大切なのは自分ではなく……

 自分はどんな存在で、なぜそこに挑戦しているのか。そういった視点で捉えると楽になることもあります。私も初めて韓国でコーチングの講座をしたときには緊張しました。どうするとよいかと、それこそ戦術・技術ばかりを考えていました。

 ですが、「一番大切にしたいことは何か」を自分自身にシンプルに問いかけると、「全員の顔を見て、1人1人と対話する気持ちを持つこと」と感じ、ふっと肩の力が抜けたのです。自分がどう見られたいかは重要ではなく、韓国での講座に来てくれた皆さんが幸せになるためのきっかけづくりのために、私は来たのだと。

 そもそものところに立ち返る、こういった信念・価値観・セルフイメージはビジネスパーソンにとっても大切なことでしょう。仕事を始める前に「何を一番大切にしたいのか」を握り直すルーティンを入れてみるのはいかがでしょうか。

 ビジネスの領域では、思うようにいかないことは少なくありません。プレゼン以外にも日常に対して、もっとアプローチがないかと悩んでいる人もいるでしょう。昭和の働き方だと、経験の豊富な上司の経験を聞くことで部下は成長できました。ですが、今は変化の多い時代。これまでの成功体験がすべてに当てはまらないことは、教わる側の常識となっています。とはいえ、上司がすぐに変わることもない。では、どのような心持ちでいるとよいのでしょう。