【3】 解決力
 なぜ人に話をするかというと、話をする相手の能力や社会的な影響力によって解決策のようなものがもたらされ、さらにはその解決策が実行される可能性があるからという場合が多いはずだ。とくに社会的な立場の高い人に話を聞かせる場合、その傾向が顕著になる。

 とはいっても、解決策が導かれるためには、上述した2の理解力が必要だし、状況が理解できたからといって、ただちに解決策が導かれるわけではない。思考上の何らかのブレークスルーが必要となるはずで、その創造的知的能力がないと、解決策までは生み出されない。

 さらには、解決策ができたとしても、それを実行した際の副作用を考慮し、その副作用が許容範囲のうちにあるのか、他の施策との齟齬(そご)はないのかなどを瞬間的に見積もり、その策を実施するトータルの利益がどのくらいあるかを概算できなくてはならない。

 そのうえで、解決策を実行するための資源や人の手配が可能かどうか、具体的な実行策が構築できそうか、そしてその実行を実現できる状況が作れるか、などについて最低限、イメージくらいは持っておかなければならない。

「解決策の案出+副作用の見積もり+実行イメージ」、これらの総合力があるからこそ、偉い人のところに人は話をしにやってくる。これらが備わっていなければ、話を聞いてもらっても、時間の無駄になってしまう。