開成、麻布、桜蔭、雙葉、筑駒、渋幕……東京・吉祥寺の進学塾VAMOSは、「入塾テストなし・先着順」で生徒を選抜しないが、「普通の子ども」を有名難関校に続々と合格させると話題の塾だ。子どもの特徴を最大限に生かして学力を伸ばす「ロジカルで科学的な学習法」が、圧倒的な支持を集めている。本稿では、VAMOSの代表である富永雄輔氏の最新刊『ひとりっ子の学力の伸ばし方』(ダイヤモンド社)から、特別に一部を抜粋して紹介する。
「できるだけ自分の手元で子育てしたい」と考えてしまう親
諸外国と比べて日本の子育て環境は、残念ながら自慢できるものではありません。それでも、せっかくキャリアを積んだ女性が、子育てのために職場を去らねばならないような状況を変える方向に、企業も人も動いています。
一方で、今でも「3歳まではいつも母親がついていてあげるべきだ」という考え方を持つ人もいます。
なかには、「小さい頃から保育園に預けるなんてかわいそう。できるだけ自分たちの手元で育ててあげたい」と、自ら仕事を辞める母親もいます。
とくに、ひとりっ子の親に多いのですが、私はおすすめできません。
ひとりっ子ほど早い段階から保育園に預けましょう
兄や姉がいないひとりっ子にとって、家での世界は基本的に親だけです。
そこにずっといれば、いつまで経っても世界は広がりません。そして、「世の中とは、誰かがあれこれ面倒を見てくれるものだ」と学んでしまいます。
だから、ひとりっ子ほど早くから保育園に入れるなど、家庭以外の環境で育てたほうがいいのです。
これは、親が子どもの世話をする時間があるかないかという問題ではありません。時間があっても保育園に預けてください。「時間があるからずっと世話を焼いている」という状況こそ危険なのです。
ひとりっ子は閉じ込めずに社会で伸ばす
今は、このようなことに気づいている親も多く、彼らはひとりっ子をあえて保育園に入れて、自分たちは働くという道を意識的に選んでいます。
逆説的なことを述べますが、親の手がかけられるひとりっ子ほど、家庭の中だけでは育てることができず、社会と一緒に育てる必要があるのです。子育てのすべてを自分一人で抱え込むのはやめましょう。
社会にも育ててもらいつつ、親の資源はその子だけに集中できるのだと考えれば、ますますひとりっ子はアドバンテージを握っているのですから。
(本稿は、『ひとりっ子の学力の伸ばし方』からの抜粋・編集したものです)