第一は「無制限介入論」である。これは、1999年11月10日のフィナンシャル・タイムズへの投稿で主張した方法である。骨子は、

 「目標相場を達成するための無制限介入、つまり、円の一層の増価に歯止めをかけるために特定の為替相場水準で無制限にドルを購入することが考えられる。政府はドル買い介入のための円資金を短期政府証券を発行して調達することができる。金融政策により短期金利がほぼゼロに保たれている限り、政府はほぼゼロの調達コストでこうした政策を実行できる。

大蔵省がこれを本気で実行すると市場が信じれば為替レートは減価するだろう。従って、日本銀行が現在の金融政策を変えない限り無制限介入は効果がない、という議論は誤りである。ゼロ金利政策と無制限介入の組み合わせは行き過ぎた円高への対処案に十分なり得る」。

 というものであった。

 第二の提言は、2001年7月19日のブルームバーグによるインタビュー時に述べた日銀による外債購入論である。そのポイントは、

 「仮に追加的な金融緩和が必要になった場合、日銀が当座預金残高を増やすために外国為替を買い、その結果として、為替相場は市場の動きに任せるやり方もあり得る」…「金融調節の一環として外国為替を買う選択肢は、真剣な検討に値する」

 というものである。

 ちなみに第一の提言はほとんど国内からの反響はなかったし(全く非現実的と受け止められたのだろう)、第二の提言は日銀内外から強い批判を受けた(多少は現実味がある筋悪の提案と受け取られたのだろう)。それだけに筆者にとって、ここ1、2年で外債購入論が復活したのは感慨深い。

 しかし現時点では外債購入も「周回遅れ」になっており、かつインフレ目標の場合と比べ危険性が大きい、と考えている。

スイスの無制限介入の経験

 危険性について述べる前に、「大胆な政策による為替レート誘導」は、どの程度効果があるのかをみておこう。この点を考えるうえでは、スイスの経験が参考になる。欧州金融危機後、スイスフランは円同様に安全通貨として急騰した。貿易依存度が日米などに比べて格段に高いスイスにとっては、存亡の危機である。