田原総一朗氏が喫茶店のマスターに!「人と出会うこと」「ありたい私」について若者が本音を告白「うまくいっているコンプレックス」とは? Photo by HasegawaKoukou

早稲田の昔ながらの喫茶店にて、定期的に「田原カフェ」という対話会が催されている。ジャーナリストの田原総一朗氏が1日マスターとなり、 ゲストや20代を中心とした若者たちと対話を行うイベントだ。ゆるい「朝ナマ」のようでもあるが、重きを置いているのは議論ではなく、あくまで「対話」である。その場にいる参加者全員がある意味、パネリストであり、誰でも自由に発言できる。忖度のない若者ならではの意見や悩みも飛び交う。田原カフェ第3回と第4回の模様をレポートするとともに、田原氏に学生時代の話を聞いた。(構成・文/ダイヤモンド社編集委員 長谷川幸光)

学生のいない学生街の喫茶店
70年間ともし続けてきた灯が消えかかる

ぷらんたん早稲田の喫茶店「ぷらんたん」 Photo by HK

 早稲田大学前・早稲田キャンパスの南門の目と鼻の先に、「ぷらんたん」という昔ながらの喫茶店がある。店名の由来は、フランス語の「春」(printemps)だ。

 1950(昭和25)年のオープン以来、「学生街の喫茶店」として、学生や地元の人に愛されてきた。しかし、コロナ禍によって学生たちはオンライン講義が中心となり、学生街から人が遠のいたことで、経営危機が訪れる。売り上げは前年の20%を下回るようになり、さらにそこに、店舗の維持管理費や、前オーナーから引き継いだ際のローン返済ものしかかった。

 経費の見直しや貯金の取り崩し、持続化給付金等の公的制度で何とか1年はしのいだが、長引くコロナ禍で、不安定な経営がこの先いつまで続くのかを懸念し、店主の前田広喜氏は、店をたたむことを考えた時期もあったという。

 しかし、早大の講義「たくましい知性を鍛える(大隈塾)」(※現在は休講)受講生の提案もあり、「70年間、早稲田の街でともし続けてきた店の灯を絶やしたくない」と、クラウドファンディングによって支援を募ることを決意。

 状況を知ったほかの学生やOBも協力したことで、支援の輪がまたたく間に広がり、結果、当初の目標金額である500万円を大幅に超過する753万4000円の支援が集まる。建物の維持管理費やローン返済費に充てて基盤を整え、再始動を迎えることができた。

 こうしてひとまずの危機を乗り越えた喫茶店「ぷらんたん」で、大隈塾の受講生やOBらが中心となり、定期的に「田原カフェ」というイベントを企画している。大隈塾の塾頭でもあるジャーナリストの田原総一朗氏が「一日マスター」となり、ゲストや20代を中心とした若者たちと、対話を行うイベントだ。

 ルールはおもに2つ。(1)「対話」を意識し、「意見の違い」を楽しむこと。反論はOK だが否定はしない。(2)心理的安全性を担保すること。手を挙げてから発言し、発言に対しては拍手をする。発言にタブーはない。