「受益者負担の原則」に
多くのランナーは理解

 一方、横浜マラソン組織委員会は今年3月、10月30日開催予定の参加費を2万円と発表した。中止となった昨年は2万3000円を予定していた。

 組織委は現在のスタイルになった第1回(15年)参加費を、東京マラソンをはるかに上回る1万5000円に設定。それでも赤レンガ倉庫などの名所や首都高湾岸線がコースとあって、エントリーしたランナーは定員の5倍を超えた。筆者も出走したが、素晴らしいコースだった。

 第1回は「距離不足」で陸連公認コースとして認められなかったトラブルはあったものの、人気大会として定着し、第5回(19年)まで参加費は維持していた(20年は1万6200円と設定)。

 ホームページに値上げの理由などは記載されていないが、多くの大手企業スポンサーがバックアップしているにもかかわらず、組織委は第1回から「受益者負担の原則」(サービスを受けるランナーが費用を負担すべきである点)を強調していた。

 それでも多くのランナーがエントリーしていたことから、そのスタンスに賛同し、今回の参加費にも納得していたということに違いない。

「2万円超」と言えば、今年2月の「大阪・びわ湖毎日マラソン統合大会」が、2万3000円と設定されていた(市民ランナーは出走できず、エリートランナーのみで開催)。21年3月には名古屋ウイメンズがコロナ禍で参加者数を制限した影響で、通常大会のほぼ倍となる2万6000円だった。

 これまでの感覚からすると「破格」ではあるが、前者にエントリーした筆者の知人は「びわ湖の冠を付けた大会なら、一度は走ってみたかった」、後者の女性は「完走賞のティファニーのペンダント(非売品)が欲しかった。完走する自信はあったので、5万円でもエントリーしたと思う」と話していたから、それぞれ費用は度外視しても参加したい動機はいろいろあるのだろう。