成功のカギは勉強をどれだけルーティン化できるか
――本にも、「みんなよりずっと先を行くマイペース」を維持することができれば、マイペースな子の強みになるとありました。そのためには、考える前に行動に移せるようなルーティン化が大事なんですね。
富永:受験勉強も、結局はルーティンを続けてきた子が勝つと言ってもいいぐらいです。筑駒、開成、灘、桜蔭の子が東大に受かりやすいのは、子どもの頃から勉強を勉強と思わないほど、学習がルーティン化されているからなんですね。
受験を批判する人が、詰め込み型学習が悪いとよく言いますけど、詰め込むことをしないと漢字も英単語も理科や社会の知識も覚えられませんよね。知識プラス思考力を鍛える勉強の両方をルーティンでやり続けてきた子は最強です。
科目が変わっても、学年が上がっても、パターンが決まっているので、自分でどんどんサイクルを回していけるのです。
基礎がしっかりしていれば、6年生で大きく伸びる
――難しい問題を無理にやらせるより、基礎を徹底的に習得したほうが、後々のやる気につながっていくということも本で述べられています。
富永:本人が好きで難しい問題にチャレンジしているなら、いくらでも時間をかけてやらせてあげればいいんです。でもそうではなく、塾でもらったテキストは全部解かせなきゃいけないと親が思い込んで、子どもができない問題まで無理にやらせようとすると、やる気なんてなくなります。
大手の塾のテキストは、全国トップクラスの子どもにも対応できる問題まで網羅しなければいけません。特に算数は大人でも手こずるような難問奇問まで載せていますが、そんな問題は、趣味で解きたい子どもだけやればいいんです。
――難問奇問どころか、文章題の意味がわからない子もいるでしょうね。
富永:おっしゃる通り、子どもは抽象的概念の理解度の差が大きいです。5年生ぐらいまでは、抽象的な思考力にウサギとカメほど違いがあったとしても、最後に勝つのはどっちかわかりません。
算数の中で重要な単元の一つである「場合の数」も、4、5年生で抽象概念がわからない子にとっては難しいですが、6年生ぐらいになると追いついてくる子が多いです。特に、その時点で基礎学力が仕上がっていれば大きく伸びる可能性が高いですね。