台風への備え(2):ハザードマップで自宅の被災リスクを確認

 自分が加入している火災保険を見直すとともに、台風が来る前にチェックしておきたいのが、各自治体で公開されている「ハザードマップ」だ。どの自治体でも台風や大雨、地震などの自然災害が起こった際のシミュレーションを行っており、危険だと思われる地域や避難所を地図にまとめ、インターネット上などで公開している。

 特に傾斜が急な山間部に住居がある人は、台風や大雨が引き金となって土砂災害に巻き込まれる恐れがある。土砂災害は一瞬のうちに人の命や財産を奪い、取り返しのつかない被害をもたらす。台風や大雨が来る前に、自分の住むエリアが土砂災害警戒区域に指定されているか確認しておこう。

 また、都市部においても危険な地域はある。2019年10月に発生した台風19号では、1時間の最大降水量は練馬区で37.5mm、世田谷区では32mmを記録。その結果、多摩川が氾濫し、浸水する家屋が発生した。多摩川以外にも氾濫警戒情報が発令され、首都圏を流れる荒川では観測史上最大の水位を記録し、一時氾濫の危険性が高まった。

 では、各自治体が発行するハザードマップには、どのように表記されているのだろうか。例えば、伊勢湾台風(中心気圧930hPa)以上の台風が接近し、東京湾の高潮が同時期に発生した場合、荒川の両岸を含む複数の箇所で氾濫が起こる想定がされている。海抜0メートル地帯にある墨田区内は、その大部分が浸水するだけでなく、その周辺エリアである江東区、足立区、葛飾区、江戸川区(以下、江東5区)のほとんどが浸水するようだ。

 荒川が氾濫するような大規模な水害が発生した場合、最大10m以上浸水し、江東5区の人口の9割以上(250万人)が被害に遭うという推定だ。広い範囲で2週間以上もの間、浸水するため、住民は避難所などでの生活を余儀なくされる。