「あの会社はブラック企業」
元社員の書き込みの信ぴょう性は?
「あの会社はブラックらしい」「あの会社は新入社員が何人辞めた」という話が出回っているかもしれませんが、そもそも辞めた人というのはその会社に現在勤務している人に対しては少数派です。多数の人は辞めずにその会社に残って働いているのです。辞めた人がたまたまその会社に合わなかったというだけで、その事実をもって「自分にも合わなそうな会社だ」と断じるのはあまりに早計ですし、合理的な判断とはいえません。あなたとは合う会社かもしれないのです。辞めた人だけではなく、残っている人の話も聞いたうえで、公平に判断するのが常道です。
不安になったら、「現地」に行くことをお勧めします。会社訪問でも、説明会で質問をするのでも、OB・OG会でも構いません。もちろん「御社はブラックなんですか?」などと聞くわけにはいきませんが、ちゃんとした企業なら学生からの質問にはきちんと答えてくれます。
就活に限らず、恋愛でも、海外でも、趣味でも、何事にも否定派は必ず一定数いるものです。もっと言えば、どんなものごとにも必ずよい面、悪い面があり、楽しいこととリスクがあるものです。そして、経験した人でなければわからないことがあります。
たとえば、今はコロナ禍の影響で簡単に外国には行けませんが、海外旅行について「テロの危険がある」「日本人は騙されやすいから危ない」などと言う人がいます。もちろん危険はあるでしょうし、どの国であっても詐欺に合うリスクは皆無ではありません。しかし、その危険やリスクと背中合わせに、国内にいるとわからないことや、外国の人や土地に触れることの面白み、経験の妙味はあるのです。
就活では、「人が言っていることは所詮人が言っていることにすぎない」「そして物事にはいろいろな面があり、いろいろな見方がある」という大きな視野をもって、企業についての情報を収集し、判断してください。
(ダイヤモンド・ヒューマンリソース HD首都圏営業局 局長 福重敦士、構成/ライター 奥田由意)