徹底した情報収集に裏打ちされた
「勘」こそが成長の秘訣だった

「ひまわり経営」を実践するために、私たちは常に陽の当たる場所を探し続けた。そのための、情報収集をいつも行っていた。そして、マクニカの取り扱っている商品や需要がどんな動向を見せるのか、常に注視してきたつもりである。

 シリコンバレーにもオフィスを持っていたので、次の先端技術は何か、常にアンテナを張っていた。テクノロジーがどこに向かおうとしているのか。自動車か、宇宙か、市場の向かう先についても、いつも気にしていた。組織として、次の動向を考えて検討するチームも作っていた。

 陽の当たる場所を見つけ続けられるのは、市場の将来を分析することも大事だと思うが、結局のところ、「勘」なのだと、私は考えている。その世界を動き回って、圧倒的な量の情報を収集し、24時間365日、考え続けている人間の勘は極めて鋭いものになる。勘だなんて非科学的な、とバカにしてはいけない。

 私に限ったことではないが、私は20代の若いときからシリコンバレーを頻繁に訪れ、新しい半導体ベンチャーのリーダーたちと議論を交わした。そして、「次に来る技術は何か、何が来るのか」をわくわくしながら探っていた。

 シリコンバレーに通ううちに、イスラエルからも重要な情報が入ってくるようになった。インターネットに代表されるITの技術が、もともとは軍事技術がベースになっていることは、よく知られていることである。イスラエルでは、たくさんの軍事技術から派生した技術のベンチャーが生まれている。そして今や半導体の製造技術で世界をリードしているのは台湾だ。

 また、中国は国家プロジェクトとして、半導体における将来性に懸けている。液晶やソーラー電池のように半導体の分野でも世界一を目指している。我が社にとって、次に、陽の当たる場所はどこだろうか。