50年で赤字は一度もなし!半導体ナンバーワン商社・マクニカ「ひまわり経営」の威力Photo:PIXTA

1972年、26歳の時にパン屋の2階のオフィスでジャパンマクニクス(現マクニカ)を創業した神山治貴・マクニカ名誉会長。その後50年間で連結売上高7610億円、従業員数3900人の東証プライム上場企業に成長させた。今では国内の半導体商社でナンバーワンとなっているマクニカだが、浮き沈みの激しい半導体業界で生き残り、かつ成長し続けるためには、常にアンテナを張り巡らせて、伸びる分野でビジネスをするという柔軟な戦略が欠かせなかった。常に太陽を向くという花の習性にヒントを得て神山氏が名付けた「ひまわり経営」である。神山氏の著書『経営の本質 すべては人に始まり人に終わる』から抜粋してお届けする。(マクニカ名誉会長 神山治貴)

創業以来赤字は一度もなし!
「ひまわり経営」とは

 マクニカは1972年の創業以来、一度も営業赤字を出さずに済んでいる。黒字経営を続けられた要因のひとつは、私が標榜してきた「ひまわり経営」にある。常に太陽の方角を向いて咲くひまわりにインスピレーションを得た言葉で、ビジネスも陽の当たる場所に移動していこう、と考えたのである。

 陽の当たるビジネスであれば、よほどやり方を間違えなければ程度の差こそあれ、伸びていくことは可能だ。しかし、気をつけなければいけないのは、陽の当たるビジネスと言っても、時代によって大きく変わっていくことである。それまで陽が当たっていたのに、いきなり日陰になったりもする。そうなれば、その事業は衰退していくしかない。

 一例としてデジカメは出現してから躍進を続け、短期間で市場を著しく拡大していった。日本国内だけでも、従来のカメラメーカーだけでなく、家電メーカーも参入して市場は大きく拡大した。すぐに10社を超えるメーカーが林立して過当競争になっていった。ところが、スマートフォンの出現により、そのほとんどのシェアをスマホメーカーに持っていかれたのだ。

 かなり昔に遡るが、機械式リレーと呼ばれる機構部品で有名なメーカー、立石電機と某社のケースを思い出す。機械式リレーは制御装置にふんだんに使用されていた。しかし、半導体の進歩とともに、現在、その市場は相対的に極端に縮小している。今、その某社の名前を聞くことはほとんどなくなってしまった。