不動産Photo:PIXTA

コロナ禍だけでなく、円安や資材高の影響も相まって、多くの業界や企業のビジネスは混乱状態にある。その状況下でも、苦境を打破できた企業とそうでない企業との間で勝敗が分かれている。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は三菱地所や三井不動産など、不動産業界の5社について解説する。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)

不動産5社の増収率は勝敗鮮明も
利益面は各社好調

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の不動産業界5社。対象期間は22年2~6月の四半期(5社いずれも22年4~6月期)としている。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・三菱地所
 増収率:マイナス0.7%(四半期の営業収益3054億円)
・三井不動産
 増収率:28.5%(四半期の売上高5767億円)
・住友不動産
 増収率:マイナス2.7%(四半期の売上高2435億円)
・野村不動産ホールディングス
 増収率:36.3%(四半期の売上高1997億円)
・東急不動産ホールディングス
 増収率:17.6%(四半期の売上高2203億円)

 不動産業界の主要5社では、三井不動産、野村不動産ホールディングス、東急不動産ホールディングスが前年同期比で増収だった。しかも、いずれも2桁増収だ。

 中でも、増収率が5社の中でトップだった野村不動産ホールディングスは3割超と圧倒的な増収を果たした。

 その一方で、三菱地所と住友不動産は減収に陥っており、売り上げ面においては勝敗が鮮明になっている状況だ。

 ただし、利益面に目を向けると様相は異なる。三菱地所は営業利益・最終利益のどちらも第1四半期実績として「過去最高」を記録しているのだ。

 各社の増収・減収の要因は何なのか。また、三菱地所以外の会社の利益面はどのような水準にあるのか。

 各社の増収率の推移と合わせて、不動産業界における「過去最高ラッシュ」の現状を次ページ以降で詳しく解説する。