多くのビジネスパーソンから、「会議がうまく仕切れない」「無駄な会議だと言われる」「何度も似たような会議を繰り返してしまう」「結論が出ない」といった悩みを耳にする。しかし、「1ページ」のメモを事前に作り、その場で配布してうまく活用すれば、会議の進行は大きく変わる。何より、「1ページ」の力は、ミーティングをうまく仕切れなかった著者自身が、P&G、楽天、フェイスブック、MOON-Xと業界も会社も、自分の役割さえも変わっても、一貫して変わらず、実感し続けている。当連載では、『今すぐ結果が出る 1ページ思考』(長谷川晋)にまとめられている「1ページ」を活用した会議の進め方などを解説していきたい。

たった4項目を意識するだけで、会議は劇的に変わる!Photo: Adobe Stock

「1ページ思考」に必要な4項目はこれだ!

 私が使っている「1ページ」は、フォーマットが8割方、決まっています。例えば、ミーティング用の「1ページ」であれば、必要なのは、主として4項目です。

①「会議の目的」は何か?(この時間で何を達成すれば成功なのか)
②「背景」は何か?(議論のベースとして知っておいてほしい情報)
③「討議ポイント」は何か?(議論して合意するべき主要なポイント)
④「ネクストステップ」は何か?(誰がいつまでに何をするのか? いわゆる、段取り)

 私の経験上、議論がすり合わないときは、みんなが考えている「目的」がずれているか、「背景」として各人が持っている情報が偏っているか、その2つがほとんどの原因でした。

 だから、討議に入る前に「目的」をはっきりさせ、「背景」として同じ情報を持つことは極めて重要になります。まず「目的」を共有して目線合わせができたら、メンバー全員で議論のベースとなる情報を「背景」として共有する。

 もし、私が必要な情報のすべてを持っていないときには、メンバーにきちんと聞いて(聞きたい情報や領域、誰に聞きたいのかもあらかじめ書いておくとスムーズ)、情報の不均衡をなくした上で「討議」に向かうのです。

「討議ポイント」は、「自分はこうしたい」と提案するわけですが、自分が良いと思う考えだけを記すのではなく、議論に幅を持たせ、質を上げるためにも、どんな選択肢があって、それぞれどういいのか、どう悪いのかを整理するとこうなる、というところまで記載することが多いです。

 この4項目は、社内のミーティングであっても、社外のミーティングであっても、ほぼ変わりはありません。大事なポイントは、この4項目が「1ページ」にすべて的確に盛り込まれている、ということです。

これが「1ページ」の実例だ!

 ミーティングに使った「1ページ」の例を見ながらご紹介しましょう。

たった4項目を意識するだけで、会議は劇的に変わる!

 これは、この本の出版に関し編集者の方と初めて打ち合わせをした時に使用した「1ページ」がベースになっています。情報を少し加工していますが、「1ページ」に必要な4項目がどんなものなのか、イメージしていただくには良い例かと思います。

たった4項目を意識するだけで、会議は劇的に変わる!長谷川晋(はせがわ・しん)
MOON-X Co-Founder/CEO
2歳から9歳までアメリカ、シアトルで育つ。京都大学経済学部卒、体育会ハンドボール部主将。2000年に東京海上火災入社、法人営業担当。P&Gで10年間、Pampers・Gillette・BRAUN・SK-IIなどのマーケティングおよびマネジメントを統括。その後、楽天の上級執行役員としてグローバルおよび国内グループ全体のマーケティングを管掌。2015年Facebook Japanの代表取締役に就任、在任中にInstagramの国内月間ユーザー数は810万から3300万に。2019年8月に「ブランドと人の発射台」をミッションに掲げるMOON-X Inc.を創業。現在、自社D2Cブランドを展開すると同時に、共創型M&Aや他社ブランドの支援も展開中。『今すぐ結果がでる 1ページ思考』(ダイヤモンド社)が初の著書。MOON-Xコーポレートサイト:https://www.moon-x.com/ Twitterでは次世代ビジネスリーダー向けに「#ビジネスの戦闘力」を高める情報を発信中:@ShinHasegawa8

 まずは、冒頭にタイトル。何のためのミーティングなのか、を書き記しています。このときは、「書籍化」についてのキックオフ(初回)の打ち合わせでした。

 最初にあるのは、①「ミーティングの目的」です。どういう目的で、この打ち合わせが行われているのかを明確にします。ミーティングそのものの目的です。

 次が、②「背景の共有」。書籍化を進めるにあたり、共有しておかなければいけない情報はどのようなものか、書き記しています。

 それから、③「討議ポイント」。これに関しては、考え得る選択肢を提示し、ディスカッションをしながら、どの方向性で進めていくべきかをすり合わせします。

 そして最後、忘れてはならないのが、④「ネクストステップ」です。この先は、どのように動いていくのか。いつまでに何をするのか、日程を入れています。

 これまで多くのビジネスパーソンから、「会議がうまく仕切れない」「無駄な会議だと言われる」「何度も似たような会議を繰り返してしまう」「結論が出ない」といった悩みを耳にしてきました。

 しかし、この「1ページ」を事前に作り、その場で配布してうまく活用すれば、会議の進行は大きく変わります。何より、「1ページ」の力は、ミーティングをうまく仕切れなかった私自身が、P&G、楽天、フェイスブック、MOON-Xと業界も会社も、自分の役割さえも変わっても、一貫して変わらず、実感し続けています。