普通トラックのシェアで首位を走っていた日野自動車だが、不正に伴う出荷停止で顧客離れは避けられない。出荷が再開されたとしても、首位陥落は確実な情勢だ。もっとも、トラック業界関係者によれば、「2位のいすゞ自動車との首位逆転は“無風”のうちに進む」という。この言葉の真意とは。特集『日野“陥落” トラック大異変』(全5回)の#2では、この異常な首位交代劇の真相に迫る。(ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)
日野車「国内全量出荷停止」でも
序列激変が起こらない異常事態
排出ガスの認証申請などで20年に及ぶ大規模な不正が発覚した日野自動車では、国内で出荷停止となる車種が相次ぎ、出荷量が激減した。
不正発覚以前には、日野は普通トラックの国内シェアで首位をひた走っていたが、このまま顧客離れが加速すれば、全ての出荷が再開されても、2位のいすゞ自動車にトップの座を明け渡すことになる。
ところが、トラック業界関係者からは、電撃的な交代劇とはならず、“ほぼ無風”のうちに首位逆転が実現するのではとの声が上がっている。日野の競合であるいすゞや三菱ふそうトラック・バスにとっては、“棚ぼた”でシェアを大きく伸ばせるチャンスのはずだが、勢力図の激変は起こらないというのだ。一体なぜだろうか。
次ページでは、今後予想される国内シェアの変遷を予想するとともに、この首位交代劇が“無風”のうちに進む背景についても明らかにしていこう。